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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter2 『実験』の始まり
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11 『青春の実験』

「え?」

「『青春の実験』? 何それ?」

 虚を突かれた顔をしているナオヤくんに、私は頷いて伝えた。ここは任せろ、と。

「えーとね……そう。高校を卒業したら大学でしょ。専門的なことを勉強するのに、私たち、まだどんなことをやりたいとか興味があるとか、わからなくて……だから、今のうちに色々試そうって話になったの」

「つまり『自分探し』とか『個性の確立』をやりたいんだな。いいじゃん、それ。応援する」

「ありがとう!」

 加地くんは豪快に笑って、手を差し出した。それが握手を求めているんだと気付くのに、少し時間がかかった。

 手を握り返すと、逞しい笑みが降ってくるようだった。

「ほい。深海も」

「……はい」

 ナオヤくんは握手を求められて、握っていたレンゲを一旦置いて、それに応じた。

 首を傾げて、何度も握手した手を見ている。また、尚也くんの記憶を検索しているんだろうか。彼だったら、どう反応したのか。

 だけど加地くんはそういった事情を知らない。ただぼんやりしている人だと思ったらしい。肩を組んで、親密そうに語っている。

「今日あんま話できなくて残念だったよ。お前、なんか面白い奴だな」

「……どうも」

 そう言われると、悪い気はしていないようだった。どちらかと言うと、尚也くんが誰かにそう言う側だったから、おかしな気がしているのかもしれない。

「だけどさ、さっき血圧測定してたのって天宮さんだけじゃん? 未測定の人はちょっと……あと持病のある人とかも、ご遠慮願いますよ」

「……そうですか。では、諦めた方がよさそうですね」

 ナオヤくんは握りかけたレンゲを、すとんとテーブルに置いた。こころなしか、ものすごくしょんぼりしている。味見を止めたこっちが申し訳なくなるくらいに。

「あ、あ~……わかった。ちょっとだけ! ほんのちょび~っとだけなら、大丈夫……だと思う」

「『ほんのちょび~っと』とは、どれくらいですか?」

 加地くんが二本の指で『ほんのちょび~っと』を作っていたけれど、もっと具体的に言って欲しいらしい。

 最終的に加地くんがレンゲを動かして、先っちょに本当にちょび~っとだけ、ちょこんと載せた。つまみ食いよりも少ないくらいの量を。

「これくらいなら、健康に害はありませんか?」

「いや、まぁ人によるけど……たぶん」

「わかりました」

 ナオヤくんは頷くなり、加地くんからレンゲを受け取り、ぱくっと口に放り込む。一切の迷いなく。

「っ!」

 反射的に口を覆うナオヤくんに、私も加地くんも思わず駆け寄った。

「大丈夫か? 無理すんな」

「あの……飲み込めないなら、ここに吐き出して。見えないようにするから」

 そう、口々に言ったのだけど、次の瞬間にナオヤくんから聞こえてきたのは……

「美味しい……!」

「へ?」


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