表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter2 『実験』の始まり
20/114

10 実験の定義

「ど、どうも……えっと……加地くんだよね?」

 加地かじ 芳樹よしきくん……去年も同じクラスだった男の子だ。去年はクラス委員も引き受けていて、活発な人という印象が強い。一度、落とし物を拾ってくれてお礼を言ったきり会話はないけれど、変わらず朗らかに成してくれる。

 今も、名前を呼ぶとニカッと快活な笑みを浮かべる。

「良かった。ちゃんと覚えててくれたか。天宮さん、あんまり人と話さないから、名前も覚えられてないかもって思ってた」

「そ、そんなわけないよ。ちょっと事情があって……それより、このお店が加地くんのお家?」

「そ! うちの看板メニュー頼んでくれてありがとな。でも、辛すぎたら無理しなくていいから」

 爽やかな笑顔につい甘えてしまって、そっと、レンゲを置いた。完食はするつもりだけど、ちょっと休憩。これは、長期戦で臨まないと倒せないと判断した。

「なんか甘いもんと交互に食べたら? サービスするわ」

「い、いいよ。頼んどいて食べられないのなんて、こっちが失礼なんだから」

「いやまぁ、残されるのは悲しいけど、俺らだって病人出したいわけじゃないし。深海だっけ? お前もそう思うだろ?」

 そう言って、加地くんはナオヤくんの方を向いた。すると、何故だかぎょっとしていた。

 私も、ナオヤくんを見て驚いた。私が置いたレンゲをとって、激辛料理をすくいとろうとしていた。

「ち、ちょっと待って。食べられないんじゃなかったの?」

「和らげれば大丈夫かと……それに、あなたにばかり負担をかけては申し訳ない」

「私は自分から言い出したんだってば」

「あのリストは、二人で埋めていくと話し合ったので」

「リストって?」

 加地くんが尋ねるので、ナオヤくんはあのリストを開いて見せた。上から下までじーっと見ると、加地くんは瞬きを繰り返していた。

「何だこれ。こんなの実験になるのか?」

「僕にとっては、十分試す価値があります」

「えー……俺だったらこれ、一日あったら全部できそう」

「全部できたのなら、新しい項目を追加すればいいんです。実験はいくつも繰り返して、検証していくものですから。検証の材料はいくらあったって、いいんです」

 加地くんは今度こそ、ぽかんとしていた。私も同じ気分だ。

 その強固な意志は、この無表情な顔のいったいどこから湧いてくるんだろう。

「はぁ……まぁよくわかんねえけど、頑張れな。ところで実験て何のための実験なんだ?」 しまった、と思った。

『私たちがよりオリジナルに近づくための実験』だなんて、言えない。私はともかく、ナオヤくんはクローンとして登録されていない上に、オリジナルとしてここにいるんだから。

 実験のことを話したら、違法な存在だってことまで知られてしまうかもしれない。

 案の定、ナオヤくんは固まっている。うまい言い訳を考えているのだろうけど、深海くんならどう切り抜けたのかといった記憶を検索して、見つからないんだろう。

 彼曰くの『脳の処理』が追いついていないんだ。

 私が、何か言わないと……!

「せ、青春の実験だよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ