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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter2 『実験』の始まり
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6 リストの共有

 お弁当を食べ終えるといつも、いつもなら教室に帰ってゆったりする。

 だけど今日は、手にしたリスト端末のメモを見てうんうん唸っていた。

 試験勉強じゃない。買い物のメモでもない。

 これは、この前ナオヤくんにも見せた『愛のやりたいことリスト』だ。ちなみに今はナオヤくんと権限を共有しているので、二人同時に見られるし、編集もできる。

 今も、ナオヤは隣の席で同じメモを見て、何やら考え込んでいる。私よりもずっと楽しげに。

「ねえ、これ……本当にやるの?」

「もちろん」

 即答だ。名案だと思っているらしい……。

 先日ナオヤくんは提案した。自分たち二人でこのリストを実行していこうと。「これは愛さんの希望が詰まった、愛さんの声そのものです」と、そう主張している。

 それを否定するつもりはない。私もそう思ったから大事に持っていたんだもの。

 だけど、生きているときですらこんなにも違うのに、リストをなぞるだけで近づけるものなんだろうか。

 そう思っていると、ナオヤくんはリストの一つを指さした。

「この項目は、消してもいいのでは?」

 それは『元気な私を撮る』だ。

「先日、愛さんの自己紹介を撮っていたでしょう?」

「あれは……『愛』を撮ったことになるのかな?」

「少なくとも僕は、どちらかわかりませんでしたつまり、愛さんを再現できていたということでは?」

「う、う~ん……そうなのかな?」

 私が迷っていると、ナオヤくんはさっと項目を指でなぞった。するすると文字にマーカーラインがひかれていく。

「他には……」

 ナオヤくんはリストに視線を走らせる。

 リストは、概ねこんな内容……


・元気な私を撮る

・学校帰りに寄り道

・辛いものを克服する

・パティスリー『アリス』のスイーツを全制覇

・サークル活動をする

・尚也くんに会う


「今のところはこんな感じですね」

「どれも、すぐにできるんじゃない?」

「この『尚也くんに会う』も完了でいいのでは?」

 頷きそうになったけれど、肯定できなかった。愛の思う『尚也くん』が誰かを考えると……。

「これは、ちょっと置いとこうか」

「わかりました。保留ですね。では他を優先しましょうか」

 ナオヤくんはさらりと言うが、疑問はまだある。

「あの……これ、愛のリストだよ? 深海くんの方はどうするの?」

 私が尋ねると、ナオヤくんは「ふむ」と考え込んだ。そして……

「このリスト、追加してもいいでしょうか?」

 きっと愛は二つ返事で了承すると思う。私が頷くと、ナオヤくんはファイルをコピーして、新しい方のファイルを開いた。

 そこに追加したのは……


・友達をつくる

・誰かを笑わせる


「これ……深海くんはいつもやってたね」

「僕には難しいです」

 確かに。そう思ったのが、顔に表れていたかもしれない。ナオヤくんの眉根がぴくんと動いた。

「やはり難易度の低いものから試していきましょう。まずは、これから……」

 そう言ってナオヤは、リストを指さした。リストにある項目『学校帰りに寄り道』を。

 そんなに気合いを入れて臨むものなのか。そう思っていたのだけれど……。


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