5 私たちはプロトタイプ
白い肌、さらさらの髪、長いまつげ、それに触れた箇所から感じる体温……すべてが、ナオヤくんだ。今、私のすべてが、ナオヤくん一色に染まっている。
頬に添えられた手のひらも優しくて、そっと自分の手のひらを重ねると、熱が全身にまで広がっていくようだった。
「……ね? 簡単でしょう?」
「……う、うん……でも、簡単て言うのは、ちょっと……」
「すみません」
イタズラっぽく笑うナオヤくんを、私は許してしまった。だって、嬉しかったから。
嬉しくて、添えられたままの手をそっと撫でて、その感触を手のひらに刻みつけようとする。すると……
「お待たせー! よっしゃ、会議開始!」
両手一杯のお菓子を持って、満面の笑みの加地くんがやって来た。その後ろからは、ちょっと申し訳なさそうな顔の弓槻さんが着いてくる。
声が聞こえた瞬間にパッと離れた私たちは、平静を装いながらも、まだなんだか鼓動が速い。だけどそんなことすらも、なんだか愛おしく思うのだった。
これからも、そんな時間が続くのだから、お互いに笑顔を向けずにいられない。
そうして、私たちの実験の日々は続いた。
何度もリストを更新して、新しい項目を足して、達成して、また足して……その繰り返し。
楽しいことなら何度もやったし、新しいことも色々と試した。
残っていた項目について、ちょっとだけ伝えておくと……
・指輪を贈り合う
これは、まぁ……数年後、とだけ言っておきます。
・毎日おやすみを言い合う
これは、達成はできていない。だって、まだ継続中だから。十年経った今でも……。
実験は、まだまだ続けている。大人になっても、皆まだまだプロトタイプなんだって、言っている。
そして実験のために集まった時、私たちはどちらからともなく、その言葉を口にしていた。
「さぁ、今日は、何をしようか」




