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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
Epilogue プロトタイプ
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4 『キスをする』

「いいんじゃないですか? 僕とヒトミさんだけだと、すぐに停滞してしまいそうなので」

「まぁ……そうだね」

 そう言うと、何故か弓槻さんはニヤニヤしながら私に近づいて、耳元で呟いた。

「こっちのリストは任せて。でもあっちのリストは……停滞させちゃダメだよ~」

「……え!?」

 その真意を問いただすより先に、弓槻さんは大声でわざとらしく、叫んだ。

「あ! そうだ! じゃあこれからリストの追加項目をまた考えなきゃ~たくさん足さなきゃいけないから長丁場になるよ~お菓子とか飲み物とか~たくさん用意しないと」

「お菓子や飲み物ならありますよ。母が、集まるなら要るだろうと言って用意してくれたので」

「わぁ! 本当? ありがと~! 加地やん、取りに行こうよ」

「おう! ヒトミも行く?」

「二人で十分でしょうが……! 行くよ!」

「え? え? う、うん……?」

 弓槻さんはそう言って、加地くんを引きずって行ってしまった。これは……またもや例の『後は若いお二人で』状態にされてしまった。

 いきなり二人にされても困るんだけど……。そう、思っていると……

「今のは、気を遣われたんでしょうか」

「え……うん、そうだね」

 残された二人が二人ともそのことに気付いていると、余計に話しづらい……。だけどナオヤくんはまったく気に留めずに、言うのだ。

「せっかくなので、こちらのリストについて話しましょうか」

 そう言って、弓槻さん曰くの『あっちのリスト』を開くナオヤくん。

 残る項目は……


・毎日おやすみを言い合う

・指輪を贈り合う

・キスをする


「これって……私たちにはまだまだ難易度が高いよ……」

「そう……でしょうか」

 ナオヤくんは何てことない様子で、尋ね返した。

「この『毎日おやすみを言い合う』は今からでも始められます」

「そりゃそうかもしれないけど……『指輪を贈り合う』は?」

「指輪というだけなら……」

「たぶん、そういう意味じゃないと思う」

「では、ひとまず数年後ということにして……」

 なんだかドキッとすることを言っているような……。だけどナオヤくんの指は、もっとドキッとすることを指し示した。

「『キスをする』……ですか」

「これが一番難しいような……」

「どうして?」

 そう言うと、私が答えるより速く、その項目に線を引いてしまった。

「え!? なんで消すの……!?」

 そう叫ぶ私の唇が、柔らかな温もりで塞がれた。視界いっぱいに、ナオヤくんの顔が広がる。


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