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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
Epilogue プロトタイプ
111/114

2 花見

「花見って、昔は春に桜を見て飲んだり食ったりする会のことだったんだよな? これって、ちょっと違うのかな?」

「たぶん『飲んだり食ったり』は後付けなんじゃない? 最初は桜を愛でるのが目的たった……ってどっかで聞いたような……?」

 加地くんも弓槻さんも首を傾げている。でもたぶん、それほど困った様子じゃない。

「二人が十分『愛でてる』から、いいんじゃないかな。桜も、それ以外のお花も」

「そう? じゃ、いいか」

「ていうか、そもそもなんで『実験リスト』に花見が入ってたんだっけ?」

「加地くんと弓槻さんが追加したので、お二人がやりたかったことなのでは?」

 ナオヤくんが言うと、二人は目を見合わせて、更に首を深く傾げた。どうやら、記憶にないらしい。

「言ったっけ? そんなこと」

「言ってたよ」

 そろっと言ってみたけれど、二人はやっぱり覚えてないらしい。

 あの時、かなり盛り上がってあれもこれもそれも、と何でもかんでも詰め込む雰囲気だったから、いわゆるノリで書いたのかもしれない……。

「悪い悪い。そもそも深海とヒトミが始めたリストなのに、俺らが勝手に色々足しちゃってさ」

「そういえばそうだっけ。ねぇ、今更なんだけど、どうしてこのリストを始めようと思ったの? 本当は『青春実験』なんて、違うんじゃない?」

 さすが弓槻さん……鋭い。

 答えようかどうしようか迷っていると、ナオヤくんが、ぽつりと先に告げた。

「お二人ともご存じのように、僕もヒトミさんも、クローンです」

 それを、二人は黙って聞いてくれる。視線が、先を促していた。

「今は違いますが……あの頃は二人とも、自分はオリジナル……つまり『愛』さんと『尚也』にならなければいけないと、思い込んでいました。だから二人で考えていたんです。オリジナルの二人なら、何をするか、何をやりたがるか、どうすれば彼らに近づけるかを」

「そのためのリストだってってのか?」

 ナオヤくんは、神妙に頷いた。

 それを見て、加地くんも弓槻さんも顔を見合わせていた。やっぱり、おかしなことだと思うだろう。まして、私たち自身のことを認めてくれた二人にとっては。そして、もう一度リストをしげしげと見つめて、言った。

「そっか……じゃあ、お前ら二人、リスト達成してるじゃん」

「え」

 きょとんとする私に、弓槻さんがリストを見せてくれる。

「ほら、ここからここまでが最初にあった項目。ここから下が、私らが追加した項目。最初に書いてた項目って、もう全部終わってるんだよ」


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