表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter2 『実験』の始まり
11/114

1 転校生

「はじめまして。転校生の『深海尚也』です。どうぞよろしくお願いします」

 先日会った奇妙な人が、新学期、また目の前に現れた。本当に、変な人だった。

 昔の知り合いなのかと思ったら、そのクローンで。しかもおそらくは違法な形で生成されたクローンで。いきなり身の上話をして、しっかりと巻き込まれてしまって……。

 挙げ句、私と共にオリジナルを再現できるように協力しようと言ってきた、変な人だ。

 あの時は頷きながらも曖昧に返事をして、なんとか連絡先を交換する前にその場を去った。それで、終わりにできると思ったのに。

 越してきたと言っていたけど、まさか転入先が同じ高校だったなんて。しかも同じクラスだなんて……。

 しかも、絶対に私がいるとバレている。私が彼を見て驚くのと同時に、目を見開いていた。表情は柔らかく微笑んだままだったけれど、それからもずっと、チラチラ私の方を見てくる。

 他の女子たちは涼やかで整った面立ちの転校生を見て、密かに歓声を上げていた。そんな中で、私だけがそろっと顔を背けていたのだった。

 だけど、時既に遅しで……

「こんにちは、天宮さん」

 深海くんは……いや、ナオヤくんは迷わず私の元までやって来た。衆人環視の中、こんなにも至近距離で笑顔を向けられては、無視できるはずがない。

「……どうも」

 答えると、ナオヤは満足そうに頷いた。

「なんだ。深海と天宮は知り合いか?」

「はい。以前、同じ学校でした」

「なんだ、そうか。じゃあ、席は一つズレてやってくれるか。知り合いが近くにいた方がいいだろう」

「ありがとうございます」

 先生の言葉に従って、隣にいた女子はさっと席を空けて、別の席へと移っていった。

「端末の設定方法を教えてくれますか」

 転校初日にやらなきゃいけないことだ。仕方ない。ナオヤの席に近づいて、横からモニターを操作する。

「ここにID入力して。そしたら前の学校でのデータも連結して、開けるはずだから」

「ありがとうございます。すみません、前の学校で使用していた端末よりも新しいものだから、わかりづらくて……」

「……いいよ、これくらい」

『前の学校』での記憶は深海くんのもの。おそらくナオヤくんは実体験は初めてのはずだ。

 話しながらも、ナオヤくんは管理画面を起動させていた。だけどその後の操作は少したどたどしかった。

 先日の話によれば、彼は生を受けて一年ほどらしい。ラーニングを受けたとは言っていたけれど、分からないことがあったっておかしくない。一つ画面を開く度、驚いたり感心したりしていた。

「ああ、これが学校の地図ですね」

「次の授業の教科書はどれですか?」

「なるほど。課題提出はこのタブから、これを選択して……」

 仏心を出した結果、マニュアルに書いていることとほぼ同じことを、全部解説する羽目になってしまった。

 ようやく終わる頃には、ホームルームは終わって、一限目の先生が教室に入ってきていた。

 慌てて自分の席に戻ったところで、自分の端末でポロンと音がした。メッセージの着信だ。授業の記録以外に、生徒同士、教師からの連絡などのためのメッセージ機能もついている。

 他の人が着信した気配はないので、私一人に対してらしい。何かと思って、開いてみると……

『昼休みもご一緒願います』

 そう、書かれていた。

 瞬きして、そろっと隣に目をやる。そこにはニコッと爽やかに微笑む奇妙な人が……。

 わかっていた。彼が教室に入ってきたその時から、わかっていたんだ。

 きっとこれから、逃げられないんだと。

(ていうか……使いこなしてるじゃない……!)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ