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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter6 約束
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12 なんにでも、なれる

「じゃあ……お父さんは、愛の言葉を守って、私を娘として大事にしようとしてくれている……そういうことですね」

「それだけじゃ……」

「そうですよね?」

 強く、私は確かめた。お父さんは、私の意図を図りかねるように瞬きを繰り返している。

「人が……変われるんだってことはわかっています。お父さんにも、変化があったんだってことも。でも、だけど……今の私には、お父さんの変化は全部は受け止めきれないんです。昔、どう思われていたのかをよく知っているから……」

「……すまなかった」

「だけど、愛がいるなら……受け止められるかもしれない」

「愛が?」

「愛が、お父さんを変えてくれたから。愛がお父さんに、私を愛するように言ってくれたから……だからお父さんは、精一杯、私にも『お父さん』でいようとしてくれている……そう、思えます」

「……そうか」

――ヒトミは、凄いんだよ。なりたいって思うもの、なんにでもなれるよ……なってね

 じゃあ、私は『娘』になってもいいのかな? いいよね?……なれるよね?

 私とお父さんを繋ぐ愛を、もう一度仰ぎ見た。

 そこに映るたくさんの愛は、笑顔のまま、動きを止めていた。笑ったまま、私たちを見守っている。背後に映る、昔の星たちと同じくらい煌めいた笑みで、私とお父さんを包み込んでいた。

「お父さん……お願いをしても、いいですか?」

「なんだ?」

「この部屋に、いつでも入っていいですか?」

 この部屋には、セキュリティロックがかけられている。お父さんしか、ロック解除はできない。お父さんのいない時には、この部屋には入れないのだ。

 お父さんは、少しだけ迷って、頷いた。

「もう、中のものを壊さないならな」

「あの時は、ごめんなさい」

「いいよ。好きなときに会いに来なさい。いつでも、ここにいるからな」

 そう言って、愛の残したチップを一つ一つ、箱に戻していった。私も、それを手伝った。こんなにもたくさん、愛は思いを残してくれていた。

「あのね、私……スペアだって言われて傷ついた」

「……ああ」

「でも、愛が苦しそうな時、私の体をあげることで治してあげられたらって……そう思った」

「……」

「どっちも、本当の気持ちだった」

「ああ、そうだな」

 お父さんの声は、穏やかだった。私の思いを、受け止めてくれたんだと、そう思えた。

 私は『娘』になった。『娘のスペア』じゃなくて。

 これで、いいんだよね?

 答えなんて返ってこない問いを、胸の内で問いかけてみる。答えは、自分の中から湧き出た。

「お父さん、もう一つお願いがあります」

「……なんだ?」

「これ……もう一人分、用意してもらってもいい?」

 リスト端末を操作して、登録されていたデータを表示させる。それを覗き込んだお父さんは、目を丸くしていた。


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