表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/67

子ドラ救出大作戦

◆ sideフィーリア ◆




「わー、マジでアイナ通れないね。シド、通れる?」

「そうだな……横になって進めばなんとか。クレイグは剣は手に持って行けば通れるんじゃね?細身だし。」

「剣は背に括りつけますよ。まあ、洞窟ですからナイフが主にはなるでしょう。……これより狭くなると、身動きが取れなくなってしまう可能性もありますね。」

『そこはワッカちゃんにお任せ―。先行して見てきてあげるわよ。』


 さすがにガラリア様も、ここまで来てアイナも通れないほどの割れ目を見て、大人しくなった。そりゃそうだ、そもそもあんたの得物(えもの)、槍じゃん。洞窟でンなもん振り回せないっちゅーの。


「基本、帰りは転移しようと思ってる。三往復くらいなら平気だし。アイナは念のためここで待機。呼べるようなら呼ぶね。ヴェントは巣の割れ目のそばで待機ね。ガラリア様はセルガと一緒に巣に戻っていてください。さ、では、行くとしますか。」


 ガラリア様がまだなんか言いたげだが、構ってられるか。ヴェントも巣に戻るんだから、お願いしてドラゴンとお喋りでもさせてもらっておけ。




『この先しばらく行ったらまたちょっと狭くなってるよー。』

「うぇ~またぁ?あ、シド、背中破けてる。」

「あー、さっき引っ掛けたからな。この服そろそろ限界だったからいいよ。フィー様新しいの買ってくれ。」

「シド、お前いつもそんなお強請(ねだ)りしてるのですか?フィーリア様、こいつを甘やかす必要はありませんからね。」


 なんてことない会話をしながら、子ドラの元へと進んで行く。まあ、多少広めの空間だからできることで、これがもっと狭くなっちゃうとお喋りする余裕もないのだけれど。


「フィー様ぁ、道作ってくれよぉ。」

「空気の流れが変わんない程度には広げてやってるでしょうが。我儘言うんじゃない。」

「フィー様に我儘って言われちゃうとか、俺が――」


 ……なんか……いるね。全員で戦闘態勢を取る。このメンツなら余程のことがない限り後れを取ることはない。なんなら私一人でだって…………



「ぅぎゃああああああ!!!」



 逃げた。と言うか隠れたね。シドたちの後ろに。やだもう、ちょっと考えればわかることだった。薄暗い洞窟でしかもジメジメ。いやだからって私が来ない選択肢はないんだけどさ、ぅう……


「フィー様、終わったぜ。」

「……フィーリア様、無理なさらないでください。我々だけでも対処できますから。」

『そー言えば、フィーちゃん()()だったわね……。』


()()()()()()しか許してないのよ!なんであいつら体大きくなればなるほど足が増えるのよ!大きな体支えるためだわね!わかってんのよ!わかってるけど!これは別なの!」


 ううう~……虫は嫌だよぅ……


「フィー様、あー、おんぶしようか?」


 ……シド、いつかコロス……




『この先ちょっと広い小部屋みたいになってる。魔素溜まりがあるわね。なんか……たぶん子ドラゴンだと思うけど、いるわ。』

「うん、かなり()()()だね。シド、クレイグ、大丈夫そう?」

「こりゃ……流石にキツいかな。下手すりゃ動けなくなるかもしれねえ。」

「万一を考えると、私とシドは通路で待機するほうがいいかもしれませんね。まさかここまで濃いとは。」


 うん、思ったよりもだいぶん魔素が濃いね。


「そこそこの広さあるなら、いざとなればアイナ呼べばいいか。シドとクレイグは魔素溜まりに入らないで、通路で(アレ)の警戒しておいて。」

「「承知」」


 ワッカと共に、奥の小部屋を覗き込む。ねっとりした空気の中に……いた!子ドラだ!

 ……様子、変だね。ずっと唸り声あげて、目がギラギラしてる。


「ねえ、ワッカ、あれって……」

『うん、狂化しかかってるわね。まだ完全にではないと思う。どうする?』

「う~ん、どのみち連れ帰んなきゃだしなあ。無力化できる?」

『ぇぇ~、それって無傷で、ってことでしょう?う~ん、とりあえずアイナ助っ人に呼びましょ。』


 アイナを念話で呼びよせる。アイナが動けるくらいの広さがあって良かった。


『無傷……ですか。そうですね、ワッカと二人がかりなら、動きを止めるくらいはできるでしょう。その後はフィーリアがなんとかしてくれれば……』

『アンタは攻撃魔法はダメよ。子ドラゴンも洞窟もぜーんぶ吹っ飛んじゃうから。』

「ちょ、言い方!つか、狂化しかかってるのに意識って刈り取れるもんなの?」


 狂化はイメージ的にはゾンビに近い。意思など関係なしに肉体が動く限り、襲い掛かってくるのだ。


『……難しいですね。結界で拘束するだけでは、いずれ破られますから。』

『一度狂化しちゃったら、基本は粉々にぶっ飛ばすだけだもんねー。無傷で確保なんてしたことないわよ。』


 ん~、無傷は難しいかあ。


「あ、ねえ、私の回復魔法って、ドラゴンにも効く?それならとりあえず手足の腱ぶっ千切っちゃって体そのものを動けなくして、あとで治せば良くない?」

『……アンタの言ってることが一番酷い気がする……』

『ま、まあ、それしかないかもしれませんね。手足だけではなく、尻尾の腱も切っておいてください。口だけなら結界でどうにかなりますし。』


 口だけなら……ワニの口って、輪ゴムだけで開かなくできるって言うよね。噛む力は強いけど、開く力は弱いとかなんとか……いかん、また思考があさっての方向に。

 うん、この際それしかないか。後のことは後で考えよう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ