表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/65

人造魔石と魔法陣

◆ sideフィーリア ◆




「「「フィーリアの従者になりたいなら、勝負だっ!」」」


 シドを連れ帰ったら、アンディ兄様とトビー兄とジョナ兄が激おこである。まあシスコンの彼らにしてみたら、いきなり現れたチャラいどこぞの馬の骨が可愛い妹の従者になる、っていうんだもんね。てかジョナ兄まで勝負って。

 まあ勝負すればいいんじゃない?最近、フランセルもあれこれ使われてお疲れみたいだし、そもそもシド、強いしね。三人とも、勝負という名の稽古をつけてもらえばいいさ。


「あれ?だってフィー様出掛けるんでしょ?俺一応従者なのに一緒にいないのマズくない?」

「あー、大丈夫。今日は研究室に籠るだけだし放っといて。夕方にはちゃんと出てくるよ。それまで兄たちと腕力で会話してやって。」


 自分でも酷い言い草だとは思う。しかも研究室って、実は誰も知らないアマト研究所のほうにコッソリ行くし。

 商会作った以上、ガツンと一発儲けておきたいので、新商品の研究をしたいのだ。特に……魔石関連の商品を!




 私の研究室には内鍵を掛け、お菓子で釣ったワッカに緊急連絡役として籠ってもらって、そこから森の洞窟にあるアマト研究所に転移する。

 ここ、まだジョナ兄も誰も連れてきたことないんだよね。魔素の吹き出し口は、地上で枯れ木に偽装した排出口に繋いであるけど、基本的に魔素の高いところだから、誰かを連れてくるのは憚られるのだ。


 まずは、魔素の吹き出し口に仕込んでおいた(から)魔石のチェック。うん、ちゃんと魔力が充填されてるね。これは製紙工場の魔道具に回すとして、と。


 目指すは、定形で再利用可能な人造魔石。


 魔石は前世の電池のように使われてるけど、魔物からしか取れないし、供給が安定してなくてそこそこ高価だ。しかも小型魔物から取れる小さな魔石は『クズ魔石』と呼ばれ使い物にならない。だから魔道具も一般にはあまり普及していない。

 これをもし安価な人造魔石に置き換えることができたら、もっと色んな魔道具が開発されると思うんだよね。う~ん。


《アイナぁ、クダン、知恵貸してー》

『お呼びですか?』

『知恵、とはまた何用かな?』


 三人寄れば何とやら、使える頭は多いほうがいいよね。




『やはり、魔石の純度を上げるだけでは足りませんねえ。』

『ふむ、繋ぎにミスリルや魔鉱を使うのはどうだ?効率として悪くないとは思うが。』

「コスト考えると、ミスリルはないよね。魔鉱はいいかも。魔石も一緒に粉砕して再結晶化するなら、(から)魔石だけじゃなく小っちゃいクズ魔石とかも使えるし。」


 思いのほか、アイナもクダンも研究に熱中してる。楽しそうだな。

 聞いてみたら、今までの契約者は、ほとんど精霊獣を戦いの手段として扱ってたみたい。まあそれも間違ってはいないんだろうけど、あまりこんな風に一緒に何かを研究したり、ただお茶を飲んでお喋りしたりってなかったそうだ。


「う~ん、でもこの製造工程だと、私の錬金魔法頼みになっちゃわない?私以外でも作れるようにしたいんだけどなあ。」

『製紙工場のように、魔道具を開発してはいかがです?』

「あれ、属性紋そのまま組み込んでるだけだからなあ。錬金だと紋が複雑になっちゃわない?上手くできるかなあ?」

『紋など使わなくても、魔法陣にしてしまえばそのまま錬金魔法が使えるぞ。』

「はあ?なにそれ魔法陣?詳しくプリーズ!」


 なんか、思わぬ副産物発見。転移魔法教えてくれたのもクダンだし、大昔のクダンの契約者のおかげかな?

 人造魔石の研究はアイナとクダンに任せて、私はその魔法陣の研究をしてみようかな。使える魔法を全部魔法陣化できるとすれば、これはちょっと面白いぞ。いや役立つぞ。






「ねえフィーリア、前に君に言ったよね。やりたいこと先に全部教えておいて、って。最近、君、一人で何やら研究してるみたいだけど、一体何やってるのさ。」


 夜、自室で魔法陣の研究をしていると、ジョナ兄がやってきて聞かれた。何でだかシドも一緒にいるし。なんで仲良くなってんのさ。


「フィー様、他の方はともかく、ジョナス様には洗いざらい話しておくほうがいいと思うぜ。家の研究室にいないのがバレたら、大騒ぎになっちまう。フォローできんのはジョナス様だけだろう?」

「えっ?なななんでいないって」

「おいおい、俺は優秀な諜報員だぜ。まあ、どこに行ってるかまではわからんかったが。」


 あーそうだコイツ諜報部の出身だった。私の隠密も見破ったんだっけ。チャラ男のクセに。


「シドにも全部教えておいたほうがいいよ。ひいお祖父様の後見受けてるんだし、何かあったらそっちに対するフォローはシドの役目になるだろ?」


 ひー!なんかジョナ兄の圧が凄い!……っても、どこまで話せばいいんだろう?前世のこと以外は全部話しても大丈夫かな?うん、いいや、話しちゃおう。




 結局、森の洞窟の魔素溜まりに作ったアマト研究所のことから、そこでやってる人造魔石の研究、それに付随した魔法陣の研究まで全部話した。

 全部……いや、全部じゃないな。二人にフォローしてもらうなら、話しておかないといけないことがまだある。

 それに、ちょうどクダンから良い魔法を教えてもらった。ついさっきまで、それを魔法陣化してたところ。それを使えば、かなりスムーズにいくはず。


「ジョナ兄、実はね私、精霊獣と契約してるんだ。その精霊獣を紹介したいんだけど。今ここに呼ぶからびっくりしないでね。」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ