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魔法研究所

◆ sideフィーリア ◆




 アイナに教えてもらった、地下にあるという魔素溜まり、ちょっと興味があるので、アイナの案内で行ってみることにした。

 森の中程にある洞窟の奥なんだけど、入り口がわかりづらいので、今まで誰にも発見されてなかったんだって。


 アンディ兄様やトビー兄は魔素溜まりで具合悪くなってたけど、私はどっちかってぇと、魔力が溢れてくる感じがしたんだよね。てことはもしかしたら、いくら魔法を使っても魔力が尽きない……なーんて都合よくいくといいな、って思って。

 最近、商品開発とか研究とか、あとは狩りの訓練ばっかりで、魔法の開発ができてなかったのだ。


 攻撃魔法にはあまり興味がない。初めてワッカと会ったときに言われたけど、魔力が高いので、初歩の攻撃魔法でも力押しでイケちゃうから。

 となると、ここはやっぱり空間・重力系の研究がしたい。まずは転移。これ開発できれば、どこにでも直接行けるし。

 さてと、アイナ、案内よろしくねー。




『ここがこの森で一番魔素の濃い魔素溜まりです。』


 アイナに案内された洞窟の入り口は本当に狭くて、アイナが通るのにギリギリだった。でも、奥に行くにつれて段々広くなって、最奥の魔素溜まりでは体育館ほどの広さのホールになっていた。

 全体に空気がねっとりと重苦しく、ホールの真ん中の地面には五十センチほどの亀裂がある。


「もしかして、このきれつから魔素が出てきてるの?」

『ええ、地下深くの魔脈と繋がっています。』


 染み出してるんじゃなくてダイレクトな吹き出し口かあ。あ、ちょっと膨満感?みたいな感じしてきた。これが悪化してくと魔力酔い、ってことかな?

 とりあえず、ホールの中にいくつもの光の玉を出し、魔力を消費していく。と同時に、亀裂をドーム状の結界で覆って、ひとまず魔素の噴出を止めておく。


「これ、何ヶ所かつうきこう開けたら、魔素溜まりのかいぜんはできるのかな?」

『そうですね。通気口の大きさや個数にもよりますが、淀み自体は払えると思います。開けますか?』


 え、開けますかってアナタ、そんな簡単な話なの?


『はは、私は一応土の精霊ですからね。それくらいの操作はできますよ。開けますか?』

「え?いや、ちょっと待って。アイナとけいやくしたってことは、私にもできるんだよね?だったら練習したいかも。っていうか、私、魔法のけんきゅうと練習のためにここに来たんだし。」

『ああ、そうですね。私の力が貴方に流れ込んでいますから、土魔法の威力は上がってるはずです。』

「じゃあ、自分でやってみる。てじゅんだけ教えてくれる?」

『喜んで。ではまず、崩落防止のために全体に硬化魔法をかけ、その状態を固定するように……』


 いやー、アイナ、紳士だねえ。紳士っていうより学者タイプなのかな?教えるの上手だわあ。土壌改良のことも詳しく聞いてきてたし、魔法研究するためにはうってつけの人材(精霊材?)なのかも。


 無事に通気口開けに成功した。アイナにアドバイスしてもらって、雨水なんかも入り込むことはない。ゆるゆると空気が動き始め、重苦しさが薄れた。

 私の魔力は……うーん、半分くらいに減った感じかなあ。これで魔素の吹き出し口の結界を解放したら、はてさてどうなるかな?

 結界、解除!


 ん、んんん、ああ、うん……。少しずつだけど、魔力が回復していく感覚がある。あーこれ、魔法の研究所に最適かもー。


『魔脈を流れる魔素は、変質のない純粋な魔力ですからね。()()()()()()()()()()()()()()んです。精霊や魔物も回復したり、取り込み過ぎれば狂化したりしますが、どちらもその性質に寄るものなのですよ。』

()()()()()()()()()()()()()()……。」


 ん?んん?なんか引っかかるぞ。


 動物と魔物の違いは、体内に魔石を持っているかどうか。僅かながらも、その魔物の性質に合った属性の魔力を、魔石に溜め込む。魔石はそのエネルギーを魔道具等で使い切ると、白く変色してただの石ころになる。つまり使い捨て。

 希少な魔宝石と呼ばれる物は、魔物から取れるのではなく鉱石として採掘される。「自然の力を込められた」と言われている、魔力の属性を持たない魔石。普通の魔石よりも多くの魔力を溜め込んでいる。こちらは使い切ると、ただの宝石になる。

 魔石も魔宝石も、魔力の再充填はできない。


 できない?ホントに?


 馴染む、ということは変質してるということ。なら、どの精霊にも魔物にも取り込むことのできる純粋な魔力であれば


『フィーリア、どうかしましたか?』

「あっ、あー、ゴメン。ちょっと思考に入り込んでた。

 うん、ここ、魔法けんきゅうにちょうどいいね。……どうくつに名まえ付けとこうか。私たちだけにんちできればいいんだから、テキトーでいいかな。あー、天の岩戸で『アマト』でいいか。これからここは『アマトけんきゅう所』ね。」

()()()()()()が何かはわかりませんが、承知しました。あとでワッカにも伝えておきましょう。さて、まずは練習がてら、室内を整えてみますか?』

「うん、やるやる!きれつの周りだけさわらないようにして、ゆかとかべキレイにして、とびらも付けて……」


 ふっふっふ、秘密基地作りってのは、どうしてこうもワクワクするんだろうね。




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