表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/107

準備は大切

◆ sideフィーリア ◆




 すっきりした。人間やっぱり睡眠て大事なんだね。寝る直前に何か指示した記憶はあるけど、正直あんまりよく覚えてない。ま、ビービスは渡せたみたいだからいいか。


「おはよう。ブラン爺は帰ってきた?」

「おはようフィー様。戻ってるよ。今は執務室でクレイグと仕事してる。」

「そっか。ん~、そろそろ夕食だよね?みんなで一緒に食べたいなあ。」

「ブラン閣下とクレイグとか?そうだな、聞いてみるよ。」


 睡眠が満たされたら、やっぱ次は食欲よね。

 ここで食べる時、いつもはテーブルに付くのは私とブラン爺だけだけど、たまにはシドとクレイグとも一緒に食べたい。


 は!今日のメニュー、メインはカンロ鳥のピカタって聞いた気がする!淑女だけど大盛りお願いしよう!淑女だけど食べ盛りだもの!




 食事を終え、会議室で定例となった報告会。


「え、アレを渡したのか?……まあ、()の手に渡らん限りは大丈夫だと思うが。」

「罠仕掛けてあるから大丈夫。とにかく今は、いかに早く情報を得るか、ってのが最優先だからね。」

「ああ、それでフィーリア様、旦那様とも話したのですが、諜報部からフィーリア様の専属を付けることにしました。」

「え?だってシドいるのに。」

「フィー様、俺一応侍従だからね。執事的なこともやってるけど、情報集めとかまでは手が回らない。」

「てことは、主に諜報員としての役割をするってこと?」

「ええ。直接の情報収集もできますが、諜報部との連絡もその人間を通していただけます。」

「シドの一つ上で、長く諜報部にいる者だ。レイブンという。」

「ふ~ん。」


 専属、長く諜報部、シドの一つ上ってことは若い。ん、もらおうか。


「その人、すぐ使っていい?今日これから一度自宅に戻ろうと思うの。シドとそいつ連れて行く。」


 あらやだ、そんな目ぇぱちくりしないでよ。()()()()人材入ってくるんなら、とっとと使っちゃうわよ。


「ふぃフィー様、夜は寝たほうがいいんじゃないのか?さっきだって倒れたみたいに眠ったし。」

「あら、そのお陰で頭すっきりだよ。時間勿体ないし、すぐ動きたい。」

「あ、で、では、すぐに呼び寄せますね。」

「うん、よろしく。で、そいつが来るまでの間、対王家の作戦を立てたいんだけど……」






「フィーリア…さ…ま……これは……?」


 自宅の中庭。四体の精霊獣とレイブンが対面してる。


「ハイこの指輪付けて。これで精霊獣と話せるから。そっちから、アイナ、ワッカ、ヴェント、クダンね。私の契約精霊たち。みんな、この人私専属の諜報員でレイブンて言うの。仲良くしてあげてね。」


 レイブンに渡した指輪は、ミスリルと魔鉱の合金を元に、内側に【精霊との会話の魔法陣】を刻んだ物だ。紙に描いた魔法陣と違って、ひと月くらいは効果が持続する。ジョナ兄とクダンの努力の結晶。

 てか、いつの間にジョナ兄とクダン仲良くなってんだか。


「明日あたり、ワーニックとロランていう商人希望の子が二人来るから、レイブンはその子たちに諜報の仕事教えながら、バージェガンドまで行ってちょうだい。諜報の仕事っても、情報収集の仕方とか、分析のコツとかそんなんね。あ、厄介ごとの躱し方も。」

「え?私がバージェガンドにですか?()()付きで?」

「うん。もちろん私直通のビービスは持たせるし、クダンが闇の精霊一人付けてくれるって。まあ、保険代わり?」


 縄張りの外だし、正直そんなに大きな力にはなれないが、クダンの精霊と一緒にいることで、その精霊がクダンをすぐ呼べるようになるのだ。

 まあそんな非常事態、無いに越したことはないのだが、行く先がバージェガンドだからね。最低限の安全は確保しておきたい。

 それに、諜報が主な仕事なら、闇の精霊であるクダンとは相性が良いはず。巧いことやって、駆け出し二人にも教育よろしくなのだ。


「フィー様、ロランって南方に行きたいって言ってなかったか?」

「ああ、あんたのクッッッソくだらない話のせいでね。いきなり情報のほぼない南方になんて行かせらんないわよ。まずはワーニックと一緒に修行してもらう。丁度いい師匠も見つかったことだし。」

「師匠……って私ですか?」

「そ。バージェガンドが開戦に向けて動いてる、ってのはほぼ確定だからね。どうなるにしても打てる手をすぐに打てるようにするために、バージェガンドに動ける人が必要なの。」

「……私は、荒事はさほど得手とはしてないのですが……。」

「あー、そんなんさせないから。むしろそんなことになりそうになったら、全力で逃げて。できれば弟子二人も連れて。」


 レイブンが何やら呆気に取られている。シドと仲良しだって聞いてるけど、私の話とか聞いてないのかしら?いや、他人に話せるようなことってあんまりないか。


「レイブン、諦めろ。フィー様はこういう方だ。」

「シド……そうか。笑って悪かった……」


 何なのよ!二人して!






 ワーニックは、当初の希望通りバージェガンドへ旅立った。レイブンとロラン、それに小さな闇の精霊と共に。

 もちろん、装備その他は完璧にそろえ、ビービスも持たせている。そして、なんとなんと、試作品のマジックバッグまで持たせている!

 ちまちまと隙間を縫って研究していた収納魔法の魔法陣化。ようやくある程度のものが描けるようになって、それをリュックの内側に描き込んだのだ。リュック一つで荷馬車半分……くらいかな。そんだけありゃ、とりあえずは充分でしょ。


 ちなみに、転移の魔法陣はまだできない。できないというか、巨大かつ膨大な魔力が必要、ってシロモノになっている。

 このあたりの改良はクダンが進めてくれてるんだけど、今はバージェガンド組が最優先。チビ精霊を通して彼らを見守って欲しいので、研究はしばらくお休みね。


 さて、諜報部から次なる報告が上がってくる前に、父様と母様に話をしなくっちゃ。万一王城でトラブルになったら、最終手段として、貴族籍を抜けて()()()()するって。


 第三王子の時に既に出ていた作戦だから、納得はしてくれると思うけど、でもやっぱりこの手は使いたくない。ぜ~~んぶ捨てて国外逃亡だもの。家族も、仕事も、何もかも。

 そんなことになるくらいなら、いっそサウデリアの王位簒奪しちゃおっかな~、なんてこと思うくらいには気が重い。


 戦争だって、王族との絡みだって、全部が()()()のフラグに思えてきて、げんなりしちゃうな。ふう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ