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勉強&魔法考

◆ sideフィーリア ◆




 二歳の誕生日が過ぎた。去年の誕生プレゼントはブランコで、それが発端でエラい目にあったけど、その一件で前世の覚醒があったと思えば、まあいいか。

 今年のプレゼントは本棚だった。気に入った本や読みかけの本は、自分の部屋の本棚に置いておいても良い、との許可をもらった。きゃっほい。




 図書室解放から約一年。


 とは言え、世の中の全ての知識が本で得られるとは思っていない。せっかく柔らか脳チートがあるんだし、日々の生活や学習が全部身になるなんて最高じゃないの。


 母様やアリシア姉様とは、家の中の探検や庭のお散歩に出て、日用品に始まり、ありとあらゆる物の名前と用途を聞きまくった。日常生活における知識は大切だからね。


 アンディ兄様とは、相変わらずお膝いちゃいちゃ読書。ただ、読む物が絵本よりも図鑑の類が多くなった。まあ私のリクエストなんだけど。

 アンディ兄様は「自分の勉強にもなるから」って、嫌な顔ひとつせずに「この花はとっても甘い香りがするんだよ」とか「この兎の毛皮は高級品で、姉上がコートを欲しがってるんだ」などと、図鑑には載ってないプチ情報も教えてくれる。まあ、いらん情報も混じってるけど。

 植物図鑑や動物図鑑、そして魔物図鑑……って、魔物おるんかいっ!ハードだな、この世界。


 トビー兄とは外で遊ぶことが多い。以前から見ると乱暴さはやや影を潜めたものの、活発男子なことに違いはない。

 因縁のブランコや追いかけっこ(のようなもの)など、体を鍛えることに重点を置いて遊んでもらっている。まあ、ちょくちょく他の人が見張りに来たりはしてるけど。トビー兄どんだけ信用ないんだよ。

 時々自分で派手に転ぶ以外にはたいしたトラブルもない。そのくらいの怪我は自己責任だしね。トビー兄のせいにしたりはしないさ。


 ジョナ兄は私の知識の生命線。図書室開放の一件から、ジョナ兄が単独で私の子守を受け持つ日も多くなった。

 自由に本を選ばせてくれるし、解説もしてくれる。普通に話しかけもしてくれるので、お喋りも大分流暢にできるようになった。時々噛むのはご愛敬。たいして幼児ぶらずに素が出せるのは嬉しいねえ。






 一番最初に読み込んだ本は『はじめてのまほう』。自分の中にある魔力を感じることから始まり、初歩の生活魔法まで載っている私のバイブルだ。この本に書いてあった魔力操作の練習である「魔力循環」は、毎晩欠かさず続けている。

 あとは精霊がどうとか書いてあったけど、その類はなんにも見えないし感じないので、スルー。我が国含め、多くの国が創世神と精霊を信仰してるみたいだけど、今のところ気にしなくてもいいかな。


 初めて魔法を使えたときには、涙が出るほど感動した。夜中にこっそり光の玉を出したのだ。火や水じゃないのは、安全性と後始末の問題ね。

 本には魔力の増減については書かれていなかったが、まあ鍛えれば鍛えるほど練度が上がるっちゅーのは、魔法だろうがなんだろうが世の常よね。

 寝かしつけられた振りをして、部屋に誰もいなくなったら、光の玉を出し、動かし、複数出し、動かし、大きいのや小さいのを出し……疲れ果てて気絶するように眠り込むまでが毎夜のルーティーン。

 慣れてきたころに、庭で人目を盗んで、こっそり土や水、風の魔法を試してみた。うん、問題なく使えそうだね。




 「魔法はイメージである」


 ま、よく異世界物で聞くよね。『はじめてのまほう』にも最初に書いてあったわ。


 一応、火水風土光闇、の六属性に分類はされるらしいが、分類できないものは無属性って扱いになってる。

 イメージ重視ってことは、それほど明確に属性って分かれてないんじゃないかなあ。イメージできないからできないだけで、つむじ風みたいに動く土とか、光る水球とか……あ、できた。

 前世の記憶にある漫画やアニメやSF映画なんかは、もしかしたら魔法をイメージする上ですんげえアドバンテージなのかも。この調子なら、今はない魔法の開発とかもできるかもな。実際、光る水球はすぐできたし。

 空間的なもので転移と収納、重力的なもので飛行、とか使えるといいなあ。ん?転移があれば飛行はいらないのかな?いやいやそこはロマンでしょう。頑張って開発してみようっと。


 魔法、原理的なものは一切わからんな。前世の法則を無視してるんだもの。ただ、ある程度の科学的な知識があれば、威力や効果に反映されることは確信できた。

 何も考えずに水球出すのと、大気中の水分を集めるイメージで水球出すのとでは、体感的な魔力消費は同じなのに明らかに後者の水球がデカいんだもの。ってことは、現在の科学レベルを考えると、魔法の研究ってあまり進んでないのかも。


 科学レベル依存と言えば、魔法を使えるようになって割と初期に「鑑定」を使えるようになったんだけど、その説明内容が、どう考えても前世の知識を加味した説明文だった。てことは、他の人よりも解析の精度が高いってことじゃあないのかね。

 試しに、そこらに咲いていた花を摘んできて、図鑑・ダルトンの鑑定・自分の鑑定、で比較してみると、図鑑とダルトンの鑑定はほぼ同じ内容だったが、自分の鑑定にはそれプラス「天然毒素ピロリジジンアルカロイド(弱毒)を含む」って出てきてしまった。怖え!こっちで未発見の毒素ってことか!

 この植物が食品としての販売を禁止されたニュースは、前世の記憶にある。まあ、こっちじゃ食用にはしてないみたいだから問題ないだろうけど。


 ……これ、錬金魔法に応用できそうだなあ。錬金魔法は普通にあって、昔の詐欺師の「石ころを金に変える」みたいのじゃなくて、物質の精製や合成、分離・抽出なんかをするらしい。

 だとすると、科学知識チートがあるぶん、かなり有利じゃね?合金や製薬とか、金儲けに役立ちそうだよねっ。




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