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プロローグ




 それはとても良く晴れた、春の日の朝だった。


 『お屋敷』とまで言うにはやや小ぶりで、それでも村では一番大きな建物の中では、居合わせた者たちが皆一様に張りつめている。特にある一室の前の廊下では、それが一際顕著だった。

 扉前には、少しでも休めるようにとソファーや何脚かの椅子が並べられていたが、座っているのは四人の子供と婦人が二人。前夜から陣取っているせいか、子供たちはソファーで身を寄せ合って居眠りをしていた。使用人によってふかふかの毛布がかけられている。


 熊のような大柄な男たちが三人、扉の前をうろうろと行きつ戻りつしている。時々立ち止まり、扉をじっと見つめてはまたうろうろを再開する。と、緩い巻き毛の黒髪の婦人がハァ~と大きく溜息をついた。


「貴方たちねぇ、ちょっとは落ち着きなさいよ。毎回毎回言ってるじゃないの。どうせ役に立たないんだから、せめてどっしり構えてなさいな。」


サラサラ金髪熊「わかってはいるが」

ツンツン赤毛熊「いや、そうは言っても」

くりくり赤毛熊「いやその」

等と男たちは口々にもごもごと言い訳らしきことを唱える。


「まあ、何度経験しても慣れないのはわかるけど、流石にもう五……四度目なのだから座って待ってたらどうなのですか。」


 もう一人の豊かな金髪の婦人に言われ、男達は顔を見合わせる。が、結局またうろうろと歩き回るだけである。


 そしてそろそろ昼に差し掛かろうかという時




「ほにゃあぁぁぁ」


「「「っ生まれたっっっ!!!」」」




 屋敷中が歓喜に包まれた。




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