11 のあの秘密
文章の一部が欠けた状態で投稿してしまったので、修正しました。
実際、戦争なんて事になるかと言ったら、その可能性は低いのかもしれない。
しかし、ユカは本気だ……。
マオやユカが手を汚す必要はない。
それは俺の責任なのだから。
「俺の目が支局長たちの悪事に利用されていたという話なんだろう? それなら俺が始末をつけるのが筋だ」
「…………」
「君たちがどうしても殺すと言うなら、俺が殺す」
「そんなことしたら、捕まるよ」
「マオや君が手を下すより、ずっといいさ」
事実を知ってしまった以上、問題を放置するすることなど有り得ない。
かと言って、彼女たちや天の声の秘密を隠したまま、事実だけを公にするのは難しい。
いずれにせよ俺が決着をつけるしかないのだ。
「だけど、わたしたちなら――……ん、いいから黙ってて……口を挟まないで……それはわたしが……え、でも……だけど……」
突然、前世同士の対話を始めるユカ。
初めは、もめていると思ったが、次第に泣きそうになっている。
「……だ、だって……ダメ、わたしが……わかった、代わる……」
「どうした?」
「……由衣が、凄く怒ってる。……話がしたいって言ってるから、由衣に代わる」
「ユイが?」
どうやら、ユカのもめていた相手はユイだったらしい。
あの、内気なユイが自分から「話がしたい」と言うのだ、きっと重要な話なのだろう。
「わたしは、間違ってない……」
ユカはそう言うと、静かに目を閉じる――。
――眩い魔力の波が収まると、漆黒の闇のオーラは一瞬で神々しい光の輝きに変わっていた。
「…………」
何かを言いたそうに、ユイはジッと俺を見ている。
「俺に、話があるのか?」
「……由香が、ごめんなさい」
そう言って、頭を下げるユイ。
「謝りたかったのか?」
「うん、由香がひどい事したから」
言葉と同時に、ユイが俺に向けて手を伸ばすと、その手のひらから光のオーラが放たれた。
光のオーラは俺の体を包み込み、心臓を捉えていた闇のオーラが浄化されていくのが分かった。
「由香は、本当は良い子だから……」
「ああ、分かってる」
「由香は悪くない。きっと、わたしのせい」
ユイは「わたしが弱いから」と自分を責める。
「二人とも悪くない、二人とも……みんな良い子だ」
ヨーコの前世は、おそらく俺よりも年上だろうが、今は気にしない。
ユイはまだ何か言いたそうに、俺を見る。
そして、意を決したように口を開いた。
「わ、わたしは……殺すとか戦争とか、そういうのは嫌」
「当然だ。だから、俺が――」
「それもダメ! カイルさんもそんなことしないで!」
弱々しくも思えるその視線から、ユイの強い意志を感じる。
家族のタメに、必死に戦った彼女の勇気と優しさは、誰かが不幸を背負う未来を許せないのかもしれない。
「そうか……そうだな、罪を犯した者は、法で裁かれるのが筋だ」
「うん」
俺の言葉で、ユイの顔がパッと明るくなる。
当事者たちを公安局に突き出し、法の裁きを受けさせる……。
言うのは簡単だが、実際それが難しいのだ。
答えを求めるように、ユイは俺の顔を覗いている。
しかし、ユイの期待に応えられるような答えは無い。それなら……、
「よし、みんなで話し合おうじゃないか!」
俺はアニーの中にいる全員に向けて言った。
一人で考えても答えが出ないなら、みんなで考えればいいのだ。
「なんでもいい。君たちの意見を聞かせてくれ」
彼女たちには、異世界の知識もある。
俺だけでは思いもつかないような、解決策が見つかるかもしれない。
「えーと……」
宙を睨みながら、ユイは一生懸命に考えを巡らしている。
きっと、他の前世たちとも話し合っているのだろう。
が、そんな簡単に答えが出るなら、苦労はしない。それなら……、
「まだ俺に言っていない事はないか?」
何がヒントになるか分からない。
「…………」
「何かあるのか?」
「……『のあ』のこと」
「それは、言える事か?」
「えっと――……陽子さんが言ってもいいって」
前世ではまだ胎児だったノア。
カエデは、コミュニケーションをとることが出来ないから何も分からないと言っていたが……。
「天の声は、のあの属性を教えてくれたのか?」
「うん、のあの属性は『大自然』」
「だ、大自然……。そ、それは、どういう異能なんだ?」
「十年後のアニーの誕生日に『奇跡』が起こるって言ってた」
「は!? 奇跡とは何だ?」
「分からない。良い事かもしれないし、悪い事かもしれない『未曾有の奇跡』だって」
ま、全く言っている意味が分からない……。
…………大自然? 奇跡? 未曾有??
ここまでも理解しがたい話ばかりだった。だが、この話は一段と的を得ない
「チ、チカなら、分かるのか?」
「――……『無理』って言ってる」
支局長たちへの対応を話し合っていたはずが、とんでもない話にぶち当たってしまった。
俺から言わせれば、彼女たちの存在がすでに神の奇跡だ。
その気になれば、勇者にも、魔王にもなれるかもしれない唯一無二の存在。
その規格外の存在がもたらす、良いか悪いかも分からない大自然の奇跡。それも「未曾有の」だ。
はたして、ノアはこの先も胎児のままなのだろうか?
今はまだ自我も意思もないノアの魂だが、いずれは彼女もアニーの中で成長し、彼女なりの人格を形成していくのかもしれない。
だとするならば、十年後のその時に向けて、ノアの魂を正しく導いていく事が肝要なのではないのか?
「……やはり、君たちは勇者に会いに行くべきだと思う」
すみませんでした。文章データの一部が、何故か消えていました??(08/07)




