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ルームメイトはいらない、一人にして

作者: ヲンダ

 王立学院の寮は二人一部屋だ。

 いくつか一人部屋があるが、そこはたっぷりと寄付をした貴族の子が入れる。我が家のように水害の影響で貧乏生活をしている家には払えない。学費を支払うのもやっとなのだから。

 寮に入る前、私は期待していた。寮に入る学生が奇数であることに。そうなれば、二人部屋を一人で使える。

 私が一人部屋を望むのには切実の理由がある。

 私は前世の記憶がある転生者なのだ。転生者と言っても特別の能力などを持っていない。こちらの世界の人たちと変わりない。

 覚えていることも、前世では魔法がなかったとか、貴族制度のない国だったとか大した内容ではない。   

 違うのは、こちらの世界の人が感じる気配が感じにくいということだ。これは魔力が関係しているらしい。前世を思い出した私は魔法がなかったという記憶に引っ張られてしまっているらしく、思い出す前にはできたことができなくなってしまった。

 集中すれば感じるようになるので人前ではずっと集中している。そうすると、とても疲れる。だから寮にいるときくらいは、ゆっくり休みたいのだ。だがルームメイトがいればそれも難しくなってしまう。

 残念ながら入学式の一週間前に寮に入ったときは、二人部屋に二人と指定されていた。

 ルームメイトはまだ入寮していなかったので、望みをかけた。

 聞いた話によると、相部屋と決まっていてもルームメイトが派閥的に気に入らないとか、もめて家の力で部屋が変わることもあるらしい。学校職員にもミスはある。人のミスを期待するのはダメだが、私はずっと一人部屋になれるように祈っている。


 学校が始まってからも私のルームメイトは入ってこなかった。私の願いが通じたのだ。

 学校では気を張っていても、寮では一人でとてもリラックスしている。

 慣れてくると私はおかしなことに気がついた。

 一人部屋の生徒が私の他にもいる!

 本来なら、私とその人が二人で一室となるはずなのに……。

 疑問に思っていたら昔からの友人が教えてくれた。


 私のいる部屋は幽霊が出ると一部で有名な部屋らしい。ルームメイトになるはずだった生徒はその部屋をとても嫌がって親に泣きついた。親がお金を積んだが一人部屋は満室で、二人部屋を一人で使っている。

 寮でも集中したら本当に幽霊はいた。

 いくらリラックスしていたとはいえ、幽霊に気づかないなんてショックだった。部屋を変えてもらうべきか。

 リラックスしていれば気づかない幽霊なら、今まで通りでいいか。


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