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第14話 お花入り紅茶 2杯目。

「・・・あなたが、マダム・ローズ?」


夕刻に訪ねてきたルーカスは、最初の頃みたいに外套のフードを目深にかぶり、同じことを聞いてきた。ふふっ、、、一年前と同じセリフね?


「あら、ルーカス。久しぶりね?この前はお手伝いありがとう。お茶にしましょ?」


店のドアに何時ものようにクローズの看板を出して、店の中を珍しそうに眺めるルーカスに声を掛ける。久しぶりだからかしら?台所のドアを開いて、お湯を沸かす。


「この前のお花があるから、お花入りの紅茶でいいかしらね?お砂糖3つね?」


背中越しに声を掛ける。これも、いつものこと。


「砂糖?ああ、、いらない。」


「?・・・そう?」


キンモクセイの花をダージリンの茶葉に入れて、お湯を注ぐ。いい香りだ。


「あら?いつもの席に座って?」

中庭をみながら、立ち竦んでいるルーカスに、もう一度声を掛ける。


なんだろう、、、、少しの違和感。


「はい、どうぞ。」


「ああ、ありがとう。」


フードを取らないまま、ルーカスが席に着く。


何だろう、、、、知らない子みたいに感じるんだけど、、、、ルーカスよね?

背格好も、声も、立ち居も仕草も、、、吃音がない?慣れたから?


「ルーカス?フードを取ったら?」


ああ、、、と、言いながらフードを取ったルーカスは、、、、金髪だった。





*****


「え、、、と、、、ルーカス?お砂糖は3つね?」


「は、はい。」


そう答えて、照れたように笑う。

あら、いつものルーカス?だわ。そうよね?見間違え?銀髪よね?

ルーカスの綺麗な銀髪を撫でてみる。


部屋中にキンモクセイの香り、、、この前は、なんだかそわそわしちゃって、くつろげなかったけど、今日はいつも通りね?並んで座る。


「こ、この前取った、花、、、、ですね?」


嬉しそうに香りを楽しんでいる。そう、そう、、、そうよね?


「こ、、、、この前の、、、あの、、、アルノ君は、、、」


「ああ、ブルクハルトのじーさんの養子のね?彼がどうしたの?」


「あ、、、し、、親しい間柄なんですか、、、?」


「そうね。良く知っているわ。どうしたの?」


「え、、、、あ、、、」


何か言いたそうだったんだけど、黙り込んでしまった。何かしら?


そっと、ルーカスの手を取って、ハンドマッサージを始める。

「もう冷たいわね?あなたの手、、、ちゃんとご飯食べてる?」

少し温まったところで、ハンドクリームを塗る。


「よく眠れてる?運動もしたほうが良いわよ?ね?血流が良くなると、手も温かくなるのよ?」



「ぼ、僕は、、、あなたの手が、、、あ、温かい、手が、、大好きです。」




*****


マダム・ローズ、という女性は、不思議だ。

あの花の香りが、そう思わせているのか?


黒髪に、泣き黒子、、、綺麗な顔立ち、、、どこかで会ったなら、覚えていそうなもんだが、、、、あの女が、ルーカスに近づく目的はなんだろう?


疑っているのに、、、懐かしいような、、、、いや、、、あれは、ブルクハルト卿の愛人だ。









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