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第13話 ダージリンティー オータムナル。

日当たりのいいラウンジに通される。

住み込みの管理人夫婦が、客室に僕の荷物を運んでくれた。


「さて、とれたてのお花とダージリンにしましょうかね?あなた、お昼ご飯は食べたの?」


こくん、と頷く。


開け放たれた窓からは、キンモクセイの香りが漂ってくる。紅茶からの匂いが分からなくないかな?と、笑う。ストレートティーになった。


「はい。お砂糖、3つね?」


いつも通りのローズさんだ。


窓際に椅子を寄せて、並んで座る。


庭に向いたデッキと、その先の大き目な、丸くこんもりとした常緑樹。風に乗って、花が香る。

シーツがぐるりと敷いてある。

そんな景色さえ、、、懐かしく思える、、、、なぜ?どこで?


「あの、、こ、ここは、、、その、、、」

「ああ、ブルクハルトのじーさんの別荘よ?私との噂は聞いてるでしょ?夏から来てるの。王都は暑いから。あそこの家のアルノが来るって聞いてたから、手伝いさせようかと待ってたのよ?」

「・・・・・」

「ルーカスも、働いてもらうわ!何日くらいいられるの?」

「あ、、、、明後日には帰らないと、、、」

「そう?忙しいのねえ、、、まあいいわ。やることは沢山あるから。」


シーツに落ちた花を、目の細かい籠に集め、少しづつより分けてから、ごみをピンセットで取り除いていく。上手にできた、、、、


「あら、あなた、器用なのね?」


しまいには、ローズと競争みたいになって、二人で大笑いする。楽しい、、、


夕方には、近くの湖まで散歩する。

西日が、眩しい、、、、


通された客室。

こじんまりとして、整えられている。窓の外には、あの木が見える。


布団に入って、目をつぶると、、、、起きていた時よりキンモクセイの香りがする。不思議だ、、、、



・・・・「     」、、、誰のこと?



いつの間にか、眠ってしまった。




*****


お天気に恵まれて、キンモクセイの花も随分と収穫できた。


ローズが、先に乾かしておいた花を、瓶に詰めてくれた。

サシェも。


休みはあっという間だった。久しぶりに笑った。ご飯も美味しかった。


僕が帰るのと入れ替わり位に、黒髪の少年がやってきた。黒髪に緑の瞳。アルノ、、と、言ったか?ローズの髪色と一緒のことに、今更ながら気が付く。


ちらりと僕を見て、ローズに何か耳打ちする。ローズが、ふんわりと笑った。何?

その笑顔?


「こちら、ブルクハルトじーさんの養子のアルノ。こちらは、私の友人のルーカスよ。」


「アルノ・ブルクハルトです。」


綺麗な姿勢で差し出された手を握り返す。


「ルーカス、、、です。」


門の外に待たせた馬車に乗り込み、ローズを見ると、アルノの手が彼女の腰を支えている。ローズは、、、何の違和感もないらしく、手を振ってくれている。


??


何だろう、、、、この感情は、、、、




*****


「ふーーーん、、、、じーさんの妾を、養子の息子と共有?か?無くもないな。気分が悪いがな、、。とんだ尻軽?いや、、、、商売女か、、、、遺産目当てか?あの家は、、、息子夫婦が出奔しているらしいしな、、、、」


走り書きを見ながら、つぶやく。なるほど、、、そう言う関係なら、あの、アルノという黒髪の少年が、マリーと呼んだ女の子にキンモクセイの花の香油を贈った、、、、なるほどね、、、、つながったかな?



どんな女か見に行くか?



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