表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
道化の心を奪うのは  作者: ゆーま(ウェイ)
夕凪の幻編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/74

第六十二話:宿泊開始

「そろそろ迎えに行かなきゃな…」

「みんな満喫してくれたかい?」

「それはもう」

さすがは老舗旅館だ。内装料理のみならずお風呂まで一級ものだった。広さに関してはどこにでもある銭湯と大差ないが、魅力はそこではない。家庭の湯船よりも温度が高く、潮水に冷えた身体を芯から温めてくれる。それになんと言っても天然温泉というワードに惹かれてしまう。実際、身体を温めてくれたのは温泉の効果もあったのだろう。まあ旅の宿泊先、いつもとは違う景色で、仲の良い友人と一緒に、そんな特別感は拭えないが…

「ここまでしてもらって、本当に無銭でいいんですか?」

この上ないほどの待遇に、少し不安が芽生えて尋ねてしまう。そんな無礼にも支配人は目を細めて笑ってくれる。

「なんたって大事な友人の生徒さんだからね。丁重にもてなさないと」

優しく対応してくれる支配人に心を開きかける。こんないい人がいる旅館を手配してくれた永井先生に感謝だな…

「あっ、そうだ。部屋は二部屋でいいかい?」

そういえば、俺たちがしばらく使わせてもらう部屋はまだ見てなかったな。

支配人は俺たちを連れて廊下の突き当りにある階段を上る。二階には真っ直ぐに続く廊下、それを境目に左右には襖で閉ざされた部屋が二つずつ。

「奥の部屋以外は自由に使っていいからね。君たち以外にお客はいないからね」

支配人の言う「奥の部屋」はこの廊下の突き当りにあった。その部屋は洋風の木製ドアで閉ざされていて、和に囲まれているこの旅館では異様な雰囲気を放っている。けどそんなこと、客である俺は全く気にも留めない。

「ありがとうございます。んじゃあ男女で分かれるか」

「そうだな」「あぁ」

葉山の案に俺と尚輝はすぐ首を縦に振った。この面子で二部屋なら男女で分かれるしか考えられない。

「私一人で一部屋使っていいの?」

「仕方ないよ」

早乙女の気持ちも分からなくはない。自分が理由で不公平になるのは申し訳ないだろう。だけど、早乙女と二人で同室になったら、当然俺らは居た堪れない。

「そうか…もしよければ、早乙女さんの方にもう一人入れてやってくれないかい?」

「もう一人…?」

他にも誰かお客さんがいるのだろう。早乙女と同室にしようとしていることから女性であることは間違いないだろうけど…

「もう少ししたら帰ってくるから、気さくに話しかけてあげて」

そこまで気にかけている相手ならば友人とかか。

「その前に、ご飯にしようか」


「ご馳走さまでした!」

夕食も驚くほどの美味しさでだった。献立は一般家庭のそれと大した差は無かったが、味はまさに高級ホテルのレストランのようだった。

「君たち、すごくおいしそうに食べてくれるなぁ」

「だってほんとに美味しいですから」

「えっ、照れるな…ありがとう」

振る舞った手料理を絶賛された支配人は、少し顔を俯かせてこめかみを搔いている。満更でもなさそうだ。

「まぁみんな今日はお疲れ様。疲れただろうから部屋でゆっくりしてて」

支配人が言った通り、俺たちは早朝からの移動に加えて一日中海で遊んで、とてつもない疲労に見舞われている。これなら今日は深く眠れそうだ…

「もう一人が帰ってきたら、早乙女さんの部屋まで行くよう言っておくよ」

もう時刻は七時半になる。そのもう一人はいつ帰ってくるのだろうか。

「久しぶりのお客さんだし、なにより年齢が近いから、きっと喜ぶと思うんだ」

「俺たちと、年齢が近い…」

支配人の友人と思われる人物はてっきり年上だと思っていたが、まさか俺たちと同じような年だったとは意外だ。

「さて、僕は仕事があるからそっちに戻るね。何かあったら呼んでね」

「はい。ありがとうございます」

支配人はそう言って俺たちがいる部屋から去っていった。

「…なんか久々にこの四人になったな」

実際は海で遊んだ数時間前だが、体感ではこのメンバーになったのは久しぶりに感じる。

「いつもは学校でしか会わないから違和感あるな」

「確かに、あんまり休日とかに出掛けないな」

「そう考えると私たち、意外と一緒にいる時間短いね」

半年前の俺なら腰が抜けるほど驚いただろうが、今の俺はこいつらと一緒にいるのが当たり前だとすら思っている。

出会ってから三ヶ月、ここまで意気投合できる奴らはこの先現れないだろう。

「そういえば、この前数学の増田がよぉ…」

それから一時間程度、俺たちはなんでもない会話をして各自の部屋へと向かった。

と言っても、俺ら男子三人は同室だけど。

旅館ってだけで修学旅行感満載ですなぁ…

修学旅行ならやっぱり恋バナとかあるんでしょうか…グヘヘグヘヘ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ