第五話:西行き
短めだな…
「違う違う違うんだ‼︎俺のせいじゃない、俺は悪くないんだ‼︎」
身だしなみが整っていない不潔な男は、そう叫びながら泣き崩れた。
鈍い音、血飛沫、腕の痛み。全てが体に焼き付いて離さない。
耳の奥で誰かが叫んでいる。「助けて助けて助けて」って、男か女かかも分からないような声で。
蹲って嗚咽している男は汚い声で叫んだ。
「コイツのせいだ‼︎全部、全部コイツが悪いんだ‼︎」
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これは走馬灯か…本当に走馬灯ってあるんだな。
だとしたら嫌な走馬灯だな。何が俺にこんなものを見せてるのか知らないけど、きっとそれはものすごく意地悪なんだろうな。
厳つい男に胸ぐらを掴まれ、死を覚悟した瞬間に過去の出来事が頭の中を埋め尽くす。
「覚悟はできてんだろうなクソガキ…」
死んだらどうなるんだろうか…俺は天国に行けるかな。いや無理だな。
道化として大勢の人を傷つけてきたんだ。俺はあの日から地獄行きだって決まってるんだ。今までもだいぶ生き地獄だったけどな。
早乙女は安全な所に逃げれただろうか。あの子との約束、ちゃんと守れたかなぁ…
あぁ…ダメだな。最後の最期で、欲が出てきちまったよ。
問題児なんてやめて普通の学生になりたい。友達を作って、妹みたく遅くまで遊んで…
もう一度…あの子と、事実とちゃんと向き合って…なんて、考えるな。
男は躊躇なく俺の顔面を殴りつける。殴られるのって結構痛いな。
3発、4発、5発。この手はきっと、俺が死ぬまで止まらないだろう。
血が辺りに飛び散る。男の荒い息がハッキリ聞こえた。
あの事件と同じだ。辺りを染める鮮やかな赤。性根の腐った男。
「せっかくいい女見つけたのに…テメェのせいで逃がしちまったじゃねえか。あいつも来ねぇし」
この男も俺に責任を押し付けるんだな。
「また明日―――――
最期に考えたのは、やっぱり君のことだよ。明日香。
男がにまりと薄気味悪い笑みを浮かべていた。
その光景を最後に、俺は深い眠りについた。
早速主人公ピンチ❗️
一度人気のあるキャラを退場させてみたいっす。




