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道化の心を奪うのは  作者: ゆーま(ウェイ)


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第五十四話:見せてよ

鷹住高校一学年 一学期中間試験結果

   | 国 | 数 | 英  | 理  | 社 | 合 |

平均 | 54 | 61 | 52 | 58 | 64 | 289 | 一学年288人 学級38人

早乙女| 86 | 89 | 79 | 92 | 88 | 434 |    24位    5位  

尚輝 | 56 | 61 | 54 | 56 | 68 | 295 |    102位    18位

将也 | 56 | 63 | 51 | 56 | 70 | 296 |       103位    19位

「まあ、俺らはザ・平均って感じだな」

全教科の答案が返却され、自分の合計点数が分かって初めての休み時間。返ってきた答案用紙に記された点数を互いに見せ合い、和気藹々(わきあいあい)としている。

「いや命苫、お前のほうが三点低いぞ」

「待ちたまえ尚輝くんよ。合計なら俺が一点高いぞ」

「はっ?たかだか一点で思い上がんなや」

「いやいや負けは負けだから。残念でした」

この辺のどんぐりの背比べは省略します。あまりにも泥試合すぎて恥ずかしい。

「早乙女はどうだった?」

「そこそこってところかな~」

俺達の醜い争いを横目に、眉間に皺を寄せていた早乙女の結果は如何に…と言いながらも、そこそこと言いつつ結構高い点数なのだと確信めいたものを感じている。でも、あの子はあまり勉強を得意とするタイプじゃなかったからな…

俺は早乙女の答案用紙を受け取り、それを尚輝と覗き込むような形で見ると…

「やっぱり早乙女はこの点数だよな」

「分かってたけど、早乙女さんはこっち側じゃないんだね…」

目に光がない尚輝と見つめあい笑いあう。なんとも渇いた笑みだろうか。希望を打ち砕かれた気分だよまったく。

「そっ、そんなに…?」

「うん、そんなに高い」

けれど、やっと見つけたあの子と早乙女の相違点に嬉しいような落胆したような、何とも言えない感情になる。本当に同一人物じゃないんだよな。

「だがまだ希望はあるだろう尚輝よ!!」

「はぁ?もうダメだろ…命苫に負けてる時点でアウトだわ…」

おい、それはどういう意味だ?とツッコミを入れたくなったが、そんなことはどうでもいい。まだ希望はある。何を隠そう、葉山がいるじゃないか。あの葉山が。

「落ち込む前に葉山の点数を見ようぜ」

「そうやって己よりも格下の者を血眼になって探している…なんとも哀しい奴だな」

どの口が言ってんだ。この調子だと尚輝はしばらく再起不能っぽいな。尚輝を置いて見に行くか。

「やあ葉山くん、テストの点数はどうだったんだい?」

返却時、真っ青になって席に戻っていたのを俺は見逃してないぞ。

「最悪だ…こんな点数は取ったことないぞ」

こんなに意気消沈している葉山を見ると、さすがに同情してしまう。

「まあ高校始めてのテストだし、仕方ないって…」

さっき尚輝に言われた通り、葉山に自分より低い点を期待していたことが哀れに思えてきた。

「まあ嫌じゃなかったら見せてよ」

放課後は葉山を慰める時間になりそうだな。全力で励まそうじゃないか、葉山!!




「篠原くんは葉山くんの点数見ないの?」

「んん、あぁ。どうせ後で見せられるからいい」

「早乙女さんは意外と高いんだな」

「えっ、意外?」

「まぁ…頭良さそうなイメージ無かったから」

「それディスってるよね?」

「ははっ、ごめん」

「私そんな馬鹿そうに見えるかな…」

「いやそういうわけじゃないんだ。ただ、なんとなくイメージとしてね…」

「篠原くん…?」

「…なんとなくな。それより、命苫が戻ってきたらめっちゃ笑えるぜ」

「命苫くんが?どうして」

「だってよ、優希は…




「アッハッハッハ!!期待外れで悪かったな将也!!」

俺は予想だにしていない現状に、声も出ない程震え上がっていた。

「あっ…これ…」

本当に葉山のものか疑わしい点数が、そこには記されていた。

「いやー、あと三点足りなかったのは悔しいけどな」

予想外もいいとこだ。俺らの中でも最低点だと思っていた葉山が、こんな点数って…

「まさか…カンニング!!」

「ちげーわ!!やめろ、すぐカンニングを疑うな!!」

他に考えられる可能性といえば、採点ミスとか、賄賂か!!

「だからちげーっての!!心の声駄々洩れだよ!!」

だったら…他に方法なんて…

「世界が終わるのか…?」

「なぁ、それ結構傷つくからな。やめような」

「裏切り葉山めー!!」

「あっははは、これなら学年一位は余裕だな」

尚輝ごめん。俺はお前を救えない…!!

「ぶん殴るぞ。あと心の声駄々洩れだっての」


俺の中で、こんな日常が当たり前になっていく。

今まで自ら離れていた世界に、段々と溶け込む。過去の自分は捨ててしまったかのように、特別が当たり前になる。

特別が当たり前になって、当たり前(とくべつ)特別(あたりまえ)になって。そうしたら、何もかもから解放されるだろうか。

いや、こんなことを考えてる時点で、俺はあいつらと同じ世界には入れない。

俺の全身を打ち付ける呪いは…呪縛は、もう俺の心と同化しようとしている。

葉山、尚輝。早乙女…

この呪いがある以上、俺はお前らとの日常に溶け込めないよ。

忘れたくないって過去が、いつしか呪いに転じて俺を蝕んでいる。秘かに思いを寄せていたあの子が、俺を…


わかってるよ。

 やくそく

     」

だもんな。


「尚輝~お前、葉山の点数知ってたのかよ!!」

「だからやめろって言っただろ」

「そんなこと言ってなかったぞ」

「まあまあ、次こそ頑張りたまえよ。平均点ども」

「なら私は丁度中立だ」

「葉山に負けただなんて今でも信じらんねえ」

「おい」


溶け込む…溶け込む…俺は道化(ピエロ)だから。

俺は一生、きみを忘れない。

俺は一生、きみに縛られて生きるよ。

俺は一生、きみの呪いに…

明日香。

葉山 | 99 | 100 | 100 | 98 | 100 | 497 |     1位    1位


ちょっと物足りないな~って思ってたんですよ。

分かりましたよ。赤点者がいないんです。われらの救いである赤点者がいないということは世の理に反している…と。

まあそれは新キャラにでも付け加え…おっと、これは内緒でしたね。

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