第四話:追憶
序_この物語を「紫苑」に捧げる
今日4月9日だけで感情の起伏が大きすぎる。
意外と友好的な金髪ヤンキーとの出会い。あの髪は校則に抵触しないのだろうか。ピアスも。
そして、早乙女美郷との出会い。あそこまでのそっくりさんがいたとはな…
現在時刻は16:03もう夕方だ。ついさっきまであんなに騒がしい場所にいたとは思えないくらい、この街は静かだ。
俺の住んでいる家は、高校がある「鷹隅市」内にある。と言っても高校があるのは栄えている中心部で、俺の家は郊外に位置し、家周辺には山と田んぼしかない。
因みに俺は今、中心部で帰路についている。
今日は夕焼けが綺麗だな…明日も晴れか。
*****
夕焼け小焼けが聞こえる。まだ秋になったばかりの薄ら寒さが心地良かった。
あの子はいつも泥だらけになって、体力に限界が無いって程元気な子だった。
あの日、あの公園で交わした約束のおかげで、あの事故を乗り越えて今まで生きてこれたんだ。
俺の人生はあの子に捧げた。あの子のためなら…悪役だろうと勇者にだってなってなれるさ…
だって俺は…
ふと我に帰る。いけない。夕焼けを見るとどうしても思い耽ってしまう。
ここは家の近くの田んぼ道だ。もう5分程で帰れる。中心部も充分静かだが、この辺はそれ以上の静けさだ。また思い出に浸ってしまいそうだ。
だが帰るには少し早いな。母は仕事だろうし、妹はここ最近遅くまで遊んでいる。
18時に帰ればちょうどいい感じだ。それまであと1時間弱あるな…そうだ‼︎
あの公園には事故以降行ったことがない。このまま帰ってもモヤモヤしそうだし、いい機会だ。たまに思い出す程度なら問題ないだろう。
「久しぶりに行くからな。変わってないといいけど…」
言い終わるのと同時だった。
「やめてください‼︎」
ごめんなさい!反射的に謝ってしまったが、なんのこっちゃ?
「つれねぇな姉ちゃんよぉ〜。いいだろ?」
「いい加減にしてください‼︎これ以上関わるなら警察呼びますよ⁉︎」
「マッポの連中がこんな辺鄙なとこ、すぐ来てくれるかなぁ〜?」
警察って聞こえたぞ。事件性がある会話だが助けた方がいいんだろうか。
いや…冷静になれ。警察沙汰になるような事件に首を突っ込むべきではない。
それに、問題児たるもの困ってる人は助けないのが鉄則だ。
「いやっ…やめて‼︎」
「可愛い顔してんじゃん。マッポが来るまでの間、2人で楽しもうぜ…」
うん、何も聞いてない。だと、可哀想だから一応通報はしてやるさ。それでは、さらば!
家に帰ろうとした瞬間、声の主達が見えた。
人気の少ない暗い場所で、カタギじゃない顔立ちの厳つい男に追い詰められている女性が助けを求めているようだ。あぁ…あんな厳つい奴に勝てるわけないでしょ。
数秒後、その判断とは真逆に男に向かって走り出し、力を込めてマジパンチ!
……何してんの‼︎何してんだよ俺。
案の定、俺は男の怒りを買い、胸ぐらを掴まれドスの利いた声で「なんだテメェ‼︎」とな。
殺される。俺の人生はここで終わるんだ。この男に殴り殺されるんだ。
まぁ…死んでもいいか。道化の舞台はここで幕を閉じよう。
あの子に会えない人生にはもううんざりだ…
そうだ…最期に名前ぐらい呼んでみよう。こんな形になっちゃったけど、今際の願いだ。
恐怖に震えながら、俺は叫んだ。彼女に聞こえるように。
「早く逃げろ、早乙女‼︎」
泣きそうな早乙女の顔は、本当にあの子にそっくりだった。
みなさん、もし漫画みたいに女性が助けを求めてきたらどうしますか。
僕ですか?そりゃ勿論逃げますよ。
安全第一ですからね。あんな主人公スキル持ってません




