第四十四話:愛妻家
Jeg har blitt avslørt.
なんせ昨日…今日の未明ごろまで起きて父親の手掛かりを辿ってたんだ。もちろん自主的に参加したので仕方ない部分はあるだろう。でも、いくらなんでも眠すぎる。
現在昼休み。いつもの面子である葉山アンド尚輝と空き教室で昼食を摂っている。
「いやいや将也くんよ。よく寝てましたなぁ」
さっきからこの調子でいじってくる。ただでさえ眠くて苛ついてるなのにこれがあるせいで余計イライラする。あと単純に葉山の言い方がうざい。
「ここにきて問題児に磨きがかかりましたなぁ」
反論したいのはやまやまだが、葉山の言う通り今日の授業は全て寝た。登校してから起きていた時間の方が短いだろう、圧倒的に。
「でもまさか、日の出前まで色々やってるなんてな」
夜崎さんから話を聞いて店を出たのは午前三時ごろ。そのまま真っ直ぐ家に帰れば三十分程度で着いていた。だが何事もうまくはいかず、帰り途中で麻樹が「眠い…もう無理…」とか言って近くの壁にもたれ掛かって爆睡。一度眠りについた麻樹を起こすことは天地がひっくり返っても不可能だ。夜中の屋外で寝た妹をそのままにしておくわけにもいかないので、仕方なく俺がおぶって帰ったのである。おかげで家に着いたのは午前四時だった、以上が夜中の厄災であった。
「ほんと、めっちゃ疲れたし眠い」
まあ授業中に寝たおかげで幾分かマシにはなった。直樹曰く今朝の俺は屍のような顔をしていたらしい。
「んで、妹さんの手伝い結構進んだ?」
「探偵はどうだったよ。犯人はあなただ!!とかやっ…」
安定の尚輝の葉山叩きにより葉山は撃沈。進捗は…あれは進んだのか?一応心配かけさせないために進んだことにしておくか。
「まあ、そこそこな」
俺の葬式の記憶や夜崎さんの話で疑問や謎が深まる一方だったが、分かったことも少なくない。てか今更だけど父親の元カノに会ったってとんでもねえな…
「てかさ、麻里ちゃんから聞いた?」
全員が弁当を食べ終えたタイミングで、葉山が聞いてきた。
「聞いたってなにをだよ」
まあ永井先生からなら授業関係か、夕凪の幻関連のことだと容易に推測できる。ここ二日三日で色々ありすぎて頭になかったが、夏休みに夕凪の幻を確かめに行くんだった。
「麻里ちゃんのツテで宿泊できる宿屋見つかったってさ」
「おっ!!」「まじか!」
俺と尚輝は驚きの声を出す。宿泊宿やらなんやら、永井先生には頭が上がらないな。
「それ早乙女にも言っとかないと」
「おう、後で伝えとく」
こうして今日の昼休みは終わり、午後の授業もほとんどを寝て過ごした。
*****
「あ"ぁ~…結局ずっと寝てた…」
そのせいで放課後先生に怒られた。おかげで道化として問題児の印象はより強まったけど。
今日は湖山の予定が合わず、父親捜しはないとついさっき麻樹から連絡があった。湖山はちゃんと探偵を職業にしている社会人だから毎日というわけにはいかないだろう。そんなことを考えていると例のカフェの前にいた。
「コーヒー絶品カフェだ…」
無津咲に潜入する前、それに湖山と出会ったカフェ。高校入学から二ヶ月の間で色濃い思い出ができたのか。なんだか感慨深いなぁ。
「せっかくだし寄るか」
何度かこのカフェに立ち寄ったが、こうして一人で来るのは初めてだ。
「ホットコーヒー一人で」
「かしこまりました」
コーヒーを頼み椅子に深く座る。湖山ってここで働いてるんだったな、バイトとかかな…?探偵が本業だろうし案外稼げないからここでバイトして……なぜか湖山について考えていると注文したコーヒーが届いた。
俺が考えるべきは麻樹から父親の真実を離す方法、あやふやな父親の生死をどうやって確かめるかだな。あとは…『楓葉歩』とは誰なのかだよな。
昨日、正確には今日、帰る直前に夜崎さんが言っていた。楓葉歩に気をつけろと。一体誰なんだ…?それに夜崎さんはなにを知ってる…真剣に思考を巡らせたが、考えれば考えるほどこんがらがるだけだった。
一旦頭を落ち着かせるために頼んだコーヒーを一口飲もうと、器を持ったときだった。それはいつものコーヒーカップではなくただのコップだった。それに加えてそのコップには水滴がついていて冷たかった。俺は瞬時に気づいた、これはアイスコーヒーだと。
「すいませーん。注文が違くてー」
すぐさま店員を呼んで変えてもらうように頼んだ。アイスコーヒーも好きだが、今日はどうしてもホットが飲みたい。
「申し訳ございませんでした」
無事にホットコーヒーが届き、店員さんは深く頭を下げて謝罪している。
「いえそんな、おいしいコーヒーありがとうございます」
別に気にしてないし、コーヒーが飲めるだけでありがたいので、頭を上げてほしいと切実に願う。その瞬間、俺はなんとなく思いついてしまった。
「あのすいません。店員に湖山彩人っているじゃないですか」
理由はわからないが、湖山のことを聞いてみたくなった。
「湖山彩人…聞いたことないですね」
だが目の前の店員さんは湖山のことを知らないようだった。同じ職場の人でも名前を覚えてないんだろう。そしてもう一つ、少し躊躇ったが質問をしたくなった。
「んー…なら楓葉歩って名前の人はいますか?」
眠気が強いせいか、今日は自分自身の行動すら理解できない。まあダメもとで聞いておくか。
「楓葉歩…楓葉……」
当然、ピンときていない。まさかこんな身近に楓葉歩がいるわけがない。俺は店員さんが分かりきった答えを返すのを待った。
「あぁ…楓葉さんか!いますよ」
…
…
「えっ…」
久々に聞いた夕凪の幻
父親編の次は夕凪の幻編です。
ネタバレしたい




