第三話:交流
「私は早乙女美郷です。以後お見知り置きを。」
早乙女美郷。そう名乗って乱入者は自分のペアのところまで戻っていった。
教室中に静寂が走る。目の前には完全に静止してしまった男子生徒2名。俺が集めたペア2名。
だが今の俺にはそんなこと問題ではない。
似ていた…!凛々しい顔だちだが少し幼さが混じってる顔、名前のよくわからない花のようないい香り、ツンとした喋り方にあの性格。立ち振る舞いに声まで。あの子にそっくりだ。似ている、いや、似過ぎている。もしかしたら全くの同一人物なんてことも…
それは無い。100パーあり得ない。
まず名前が違う。あの子は早乙女でも美郷でもない。
それにあの子は…ずっと昔に遠い場所に行って会えなくなってしまったんだから。
まぁ世界には似ている人間が3人いるなんて話も聞いたことあるしな。他人の空似だろ。
気にしない気にしない。…うん、気にしない。
結局、俺らは5人でペアを組むことになった。
「どーもー1年D組葉山優希です。趣味はゲーム、中学ではサッカー部でした。よろ〜。」
「…」「…」「…」「…」
「何黙りこくってんだよ。はい次‼︎……早くやれよ尚輝。」
「なんでオレに振るんだよ。あの変人にやらせろよ。」
さっきのことから彼は俺を「変人」と呼ぶ。汚いやつよりマシだが…
「尚輝…篠原尚輝だ。趣味は…部活は優希と同じサッカー部に入ってた」
「おぉ〜よくできました。因みに、オレと尚輝は同じ中学なんだ〜」
ん…?待てよ。
「じゃあ次は将也君、君が」
「ちょっと待て。」
俺が割って入る。
「尚輝、お前の趣味が何かうまく聞き取れなかったんだ。もう一度頼むよ。」
「っ…!別にそんなことどうでもいいだろ。気安く話しかけるな」
「俺は尚輝と仲良くなりたいんだけどな〜。仲良くなるにはやっぱり、相手を知るべきだよなぁ〜」
「この野郎…!」
「こいつは昔からお菓子作りが趣m…ング」
尚輝が優希の口を塞ぐ。お菓子作りか。素晴らしい趣味だと思うが、本人は隠したいらしい。
尚輝には申し訳ないが、これでしばらくは彼をいじることにしよう。
キーンコーンカーンコーン
全員の自己紹介も終えられず、今日の日程は全て終えた。
*****
「明日からは本格的に授業が始まるので教科書ノートの準備を忘れずに。それではさようなら」
さようなら。さてと…帰るか。っとその前に、早乙女さんは……あれ。いない。
嘘だろ…まさかもう帰ったのかよ‼︎荷物もないし、下駄箱を見れば分かるか。
優希は、さっきトイレに行くって教室を出るのを見たから、絡まれることはないな。
下駄箱に彼女の靴は無かった。その代わりに、早乙女と油性ペンで書かれた上履きが置かれていた。もう帰ったのかよ…早過ぎる。
最も、彼女とあの子はなんの関係もないだろう。ただのクラスメイト。そう。うん。
*****
不思議なことが起こるものだな。やはりこれが運命というものなのだろう。でなければこんなことありえない。運命の再会が2回もあるなんて、ただの偶然ではないだろう。
心底嬉しいよ。またお前に会えたんだ、今度こそ必ず…
あの苦痛を味わわせてやる
こんな風に運命の再会とかしてみたいです。
「きみあの時の◯◯君だよね。私のこと覚えてる?」
みたいな感じで。




