第三十四話:代償
Amore e compensazione
一つ問いたい。目の前に紫色のシチューを出されたら、まず口にしないだろう。では、そのシチューの製造過程を見たらあなたはそれを口にすることができるか?もちろん人体に害は無い。具材も定番のものを使用している。おそらく半数の人が無理だと言うだろう。無論、俺は無理だ。例え人体に害が無かろうと気持ちも問題だ。
問題を現実に戻そう。そう…きっと害は無い奴なんだ。けど、だけど…
「やっぱり信用しきれん…」
俺は湖山についての情報を麻樹と本人から聴取した。湖山彩人という人間の人物像、二人の出会いから、二人が俺達の父親を捜し始めた経緯、更には湖山の探偵としての活躍や実績まで、様々なことを話してくれて湖山についてをよく知れたと思う。でも…
「ごめん、やっぱ信用できないわ」
「なんでなん!?今の話のどこに不審な要素があったんよ!?」
そうじゃない…そうじゃないんだ麻樹。そういう問題じゃないんだ。俺が湖山を信用できない理由、それは…お前の湖山を見る目が明らかにおかしいからだよぉ!!絶対恋してる目だってそれ!!
とか言ったら間違いなく沈められるので心の中に留めておく。
「お兄だってお父さんが今何してるんか気になるでしょ。それに、生きてるかも分からへんのに…」
生きてるかもって…また人の生死に関わるのか。夕凪の幻だってまだ確かめてないのに、課題が山積みだ。
「分かったよ…」
「ホント!?やったー!」
「信じてくれるんですか!?こんな怪しい奴を…」
全く…手のかかる妹だな。まあ真実から遠ざける為にも、本人を納得させるのが一番だ。そのために探偵である湖山の力を借りるのもいいだろう。麻樹に父親を近づけないためにも。
「じゃあお兄、本題入るよ。お父さんについて聞かせ…」
「待て」
麻樹は途中で遮られて不愉快そうな顔になる。そんな眼で睨まれたらお兄ちゃん泣いちゃうぞ。
「なによ?もう湖山さんのことは信じてくれたんじゃないん?ん」
何を…協力はするししてもらうが、なにもそんな怪しい男を信じたわけじゃない。と言いたかったが、口に出せば俺の顔にグーの拳が飛んでくるので、飲み込んでおく。
「先にそっちで調べたことを話してくれ」
今の世の中、どこから情報が広がるか分からないしな。湖山もいい顔しておきながら、実はネットで個人情報をばら撒く悪質野郎の可能性だって否めない。
「なんでよ!?お兄が先に…」
「麻樹ちゃん、ストップ」
流石は探偵と言うべきか、イスに深く座り、冷静な態度で麻樹を牽制する。その時、丸メガネの奥にある瞳から不気味な冷たさを感じた。あの時の悪魔の瞳とは違う、冷徹さを帯びた…魑魅魍魎の球体、とでも言うべきか。
「将也さんには既存の情報かもしれませんが、僕たちなりに結構調べたんです」
…?あれ…なんか変?気のせい、だよな。
それから十分程度の時間をかけて、湖山と麻樹の二人が手に入れた情報を聞いた。その全ての情報は、俺が知っているものだった。
「…お兄、全部知ってるん?」
「あぁ知ってる。なんなら母さんも」
「えぇー最悪…やっぱ初めからお兄を呼ぶんやった…」
やめてやれ妹よ。この情報を必死の思いで手に入れたであろう湖山が泣きそうだぞ。当の湖山は生ける屍と化している。内心、いい気味だと思った俺は性格が悪いんだろうか。
ただ、ここまで調べが付いているのなら最後にトドメを刺してこの件は終わりだな。
「一応あれも言っとく?湖山さんに任せるよ」
「そうだね、一番大事なことだもんね」
「なんだ、まだあったのか」
まあここまで付き合ったんだし、最後までやらせてやるか。俺は知ってるんだ、俺達の父親はもう…
「命苫将人は、現在も生きているそうです」
たった一つ、たったひとつの情報が、事態を一変させる。まさに逆転だった。俺は、裁判のような逆転を初めて体感している。
「なん…だって…?」
全てが覆る、そんな感覚だった。
この時感じた違和感にもっと早く気づいていれば、事態は最悪の方向に進むことはなかったのに。
やっっったぞーーーー!!!!!
なんと前回までやっていたゲームを全クリしました。達成感というか疲労感というか、堪らないっすね!
推しができた途端に死んでいく鬱展開で、一時心が折れましたが、無事に心を失くしてクリアできました♪
コングラです…いや、ここは盛大に…
祝え!!!!




