第一話:道化の心
「鷹住高校第357回生 入学式を始めます。」
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「まさか初日から遅刻とはなぁ…」
「寝坊しちゃって」
「健司から話は聞いていたが、まあひどいな。私は10年教師をしているが君みたいなのは初めてだ」
どうも高校入学式に意図的に遅刻し、既にクラスの問題児になりました命苫将也15歳です。
現在ピンチ。中学の頃担任だった齋藤健司が、これからの担任である永井麻里に俺のことを話したらしい。
アイツ…人のことをベラベラと。
中学時代を知った永井先生は、俺の今朝からの奇行を見るやいなや俺を職員室へと連れ去った。
そうして今に至る。
「遅刻だけでなく、クラスメイトへの暴言に教室内で奇声の発声。とんでもない爆弾を抱えたな私」
クラスメイトへの暴言。
「容姿が汚いって馬鹿にされたんっすよ。ちょっと言い返しただけっす」
「ちょっと言い返した…ねぇ」
分かってる。自分がとてつもなく酷いことを言って相手を傷つけたこと。それで口論になり、俺が奇声を上げた。ちゃんと分かってる。
「君さ、小さい頃に事故に遭ったんだって?」
っ…‼︎
「その事も健司から聞いてる。けど流石のあいつでも事件の概要を話すのは躊躇ってた」
なんで…なんで、大事なとこだけ話さないんだよ。
「その事故以来、君の奇行は目立つようになったと。遅刻に居眠り、暴言と様々な暴挙。それと…
その容姿もか。肌荒れが酷くなったのも事故がキッカケなんだってな。ついでに寝癖も。」
「…」
中学生の頃。毎日のように遅刻を繰り返し、授業は必ずと言っていいほど寝ていた。周囲の人には暴言を吐き、程度は低いが暴力を振るった。
そんな性格だからこそ中学時代は問題児だった。
訂正しよう…問題児だったんじゃ無い。
問題児を演じてたんだ。
本当は遅刻も居眠りもしたくないし、暴言て吐く度に胸が痛む。暴力なんて以ての外だ。
暴君な自分が嫌いだ。大っ嫌い。
でも演じなきゃいけないんだ。あの事件を…約束を、忘れない為に。
道化として生きなきゃいけないんだ。
今までだって誰にもこの本心はバレてないんだ。今後も上手くやれるさ。
さてと、感傷モードはここまでにして切り替えないと。先生が目の前にいるんだから。
「細かいことは気にせず楽しくやりましょうよ。今日からよろしくで〜す。
「ふっ…ホント、楽しみだね。私が話してる時、ずっと笑ってる君と過ごすのは」
問題児を演じる温厚な道化の新舞台がこれより開幕する。
この高校生活が将也の人生を劇的に変えてしまうことを、今の彼は予想だにしなかった。
入学式ほとんど出てこなかったな…
この先彼に衝撃の出会いが待ってるんですよ♪
ワックワク♫




