第十六話:暴徒どもの喧騒
Sei una persona molto cattiva.
荒れ果てた敷地。建っているのは至る所が傷付き、落書きだらけの校舎。
聞こえてくるのは、怒声や罵声、何かを叩くような鈍い音。
あの時を思い出すようなこの場所こそが、昨日の男が在学している「無津咲高校」だ。
「こんな所が鷹住市にあったなんて…」
生まれてこの方、ずっとここに住んでいるがこんなとこがあるなんて知らなかった。
「やっぱ雰囲気あるね…」
正直な話、めっちゃ怖い。今すぐにでも帰りたいくらいだ。
なら早乙女はもっと怖いはずだ。俺が怯えてどうする。
「安心しろよ二人とも。道はオレが開けるから」
わぁ…ちょーカッケェっす葉山パイセン。
彼なんかすごくホワホワしてるけど大丈夫かな…
ううん…信じよう。俺は葉山を信じる。
いざ、出陣…!
「ゔっ…何だテメェは…ぐはぁ‼︎」
問いかけてきたツーブロックの男は、蹴り飛ばされ悶絶する。
「質問すんな…ゴミども」
校内に足を踏み入れた途端、俺たちを向かい入れたのは大勢の不良たちだった。
パッと数えただけでも15人以上は、いたはずだ。
いたはず、なんだけど…
それを稲妻の如く一掃したのが、葉山だ。
挙げ句の果てには、「ゴミども…」などと罵詈雑言が止まらない。
金髪ピアスの彼の方が、よっぽどこの学校に似合うだろ。口には出さないが。
これこそが過去にヤンキー達の間で有名な『黄金の雷神』こと、葉山優希である。
…うん。本人ははちゃめちゃにかっこいいけど、異名がなぁ…厨二感満載。
だが雷神と呼ばれる彼の実力は、本物だ。
「…さて、大体の雑魚は片付けたし、とっとと先行こうぜ」
あんな厳つい格好の輩を、雑魚で一括りにしてしまうとは…
葉山に、さっきまでのホワホワ感が戻って来た。温度差が激しいな…
それでも全員を相手したわけではない。まだ周りにはヤンキーが大勢いる。
「なっ…なあ葉山…まだ周りで睨んでる奴らがいるけど、大丈夫か?」
「問題ねえだろ。それとも…」
キリッっと鋭い目つきで周囲を睨む。
「まだやりてぇ奴…いるか?」
マジぱないっす。さすがっす兄貴。
「早乙女さーん、終わったよー」
流石にあんな恐ろしい現場の中央に早乙女を連れてはいけず、下駄箱の陰で隠れさせた。
こんな場所で一人にさせるのも危ないと思うのだが、早乙女が希望したことだ。
「二人とも…あったよ。あの人の名前。2年◯組だって」
まさか俺ら(葉山だけだが)がヤンキーと交戦してる最中、早乙女は例の男の下駄箱を探していたらしい。
そういえば早乙女…あの男の学生証拾ったって言ってたな。
クラスさえ分かれば、真相を暴くのにそう時間はかからないだろう。
念の為俺たちもその下駄箱を確認する。
2年◯組 菅波龍兎
昨日の薄気味悪い笑顔を、思い出した。
この時、俺は胸騒ぎを覚えていた。
ここから少しずつ、止まっていた歯車は動き出した。
ぱらぱらぱらぱら
中学生の頃とか不良に憧れてたなあ。厨二病ってやつか…
だとしたらいまだに厨二なのか俺は…




