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道化の心を奪うのは  作者: ゆーま(ウェイ)
無津咲編

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18/74

第十五話:予兆

とれびやーん

「アイスコーヒー2つとホットコーヒーを1つ」

「かしこまりました」

カフェの雰囲気に似合う若い店員が注文を取り、去っていくのを確認した後に俺は話を始めた。

「まずさわりを話すと、早乙女が下駄箱の手紙を発見し、指定された場所に行くと例の男に襲われた」

「うん…概略はそんなところ」

早乙女が容認し、葉山が問題を挙げる。

「他校の生徒が早乙女さんの情報を知っていた事と、どうやって手紙を入れたのか…が謎なわけね」

現時点で挙げられる謎はそのくらいだろう。

「このデジタルな時代にアナログなヤンキーだな」

別にいいだろと思い、葉山の呟きを無視する。

「早乙女さん、例の手紙って持ってる?」

確かに。手紙に何か情報があるかもしれない。

「あるよ。今取り出すからちょっと待ってて」

んー…なんか違和感。

「将也はなんか見当ついてるか?」

「全然。もっとも、分かってるのがチンピラが通ってる高校だけだからな」

「高校か…」

葉山と話してるうちに早乙女が手紙を出していた。

「これがその手紙。この状態で下駄箱に入ってたの」

ちゃんとした手紙を想像していたが、実物は小さい紙を二つ折りにした簡素なものだった。

「思ったより地味…簡易な手紙なんだな」

葉山も同じことを思ったらしく、相応な感想を述べる。

「とりあえず読んでみるか。話はそれからだ」

俺が手紙を開く。小さな紙の中には、こう記されていた。


【 早乙女美郷さんへ

   あなたに伝えたいことがあります。

   今日、この場所に来てください。

    某県鷹住市◯◯-×△まで    】


手紙の内容はとても簡潔に書かれていた。

あの厳つさからは連想できないような綺麗な字で。

頭を回転させ、思考を巡らせる。

チンピラが何を言っていたか全く思い出せない。

何たってこっちは死を覚悟してたんだから。

そんなことを考えていると、顔面に思い出し痛みを感じた。

頼んでいたコーヒーが届き、一口啜る。うむ、美味いコーヒーだ。


「コーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように清く…恋のように甘いものだ」


18世紀フランスの政治家が残した名言にこんなものがある。まるであの子のことのようだ。

一緒にいるといつも暖かく、時折黒く、とても純粋で…甘い人だった。

「なんか将也が黄昏てるよ」

ゔっ…言われると恥ずかしいな。そんなに惚けてたのか俺は。

「だったら、直接聞きに行こうぜ。その方が早いだろ」

うんうん、葉山の提案に頷く。

「…」

早乙女は静止している。そりゃそうだ。

「葉山…それができたら苦労しねえよ。けど向こうは有名なヤンキー校だぜ。どうなるか容易に想像できるだろ…」

ここで早乙女の言葉を思い出す。

「なんの、あの程度ならオレ一人で充分よ。聞くのは二人に任せるからさ」

たしか葉山もヤンキーだったらしいが…

「そうしよう。私もこのままモヤモヤしたままにしたかない。命苫くん、お願い」

「なっ、安全はオレが保証するから」

えぇ…こう圧されると弱いんだよな。

「分かったよ。身の安全は葉山に託すぞ」

「おうよ!任せとけ」

何でこうなるのやら…一応俺怪我人なんだけど。

全員がコーヒーを飲み終え、会計を済ませる。

ごちそうさまも忘れずに。

「その高校ってここから遠い?」

「ええっと…そんなにかな。歩いて20分程度で着くよ」

まぁでも、不思議と嫌ではない。

あれだけ人を避けていた俺が、こうも馴染めるなんていまだに信じられない。

カフェを出て、目的地に向かって歩を進める。

昨日みたく危険な状況に陥らないことを、強く祈る。

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