第十三話:調和
La ferita è guarita.
まさか学校に空き教室なんてものがあったとは…
ほとんど物置と化しているこの教室は、この学校の最上階である4階の一番端っこに位置する。
最近使われた形跡はないが、清掃はされてるらしい。
「よくこんな場所みっけたな」
この教室は、入学式の後、葉山が独自で校内探検をした際に目を付けていたらしい。
「オレもダメもとで来たんだけど、まさか施錠すらされてないとはな…」
大量の段ボールやら謎の衣装やらで囲まれた空間に2人。俺と葉山だけが存在する。
「ま、飯食うには似合わねえ場所だけど、秘密基地って感じがしていいだろ」
「ここが私たちの秘密基地ね‼︎」
秘密基地…か。
なんだかむず痒くなってきたな…何とも居た堪れない。
だが不思議だな。人付き合いを苦手とする俺が、2人きりで気まずくもならないし逃げ出したくもならない。
葉山のフレンドリーさが良く分かる。もしくは何か魔術でも…
「おお!!今日の弁当は唐揚げだ‼︎一個食うか、将也?」
っ…魔術か。まさかこれが、友情という魔術なのだろうか。
まさか俺がそれに魅入られるなんて、信じられないな。
「なら俺の玉子焼きと交換な」
「うっし、さんきゅー」
この魔術は、道化であることを忘れるほど強力な力を持っていた。
「ふ〜満腹満腹」
「ごちそうさまでした」
誰かと食べるご飯は、こんなに美味しかったのか。
「そう言えば将也、怪我はどうだ?痛むか?」
「あぁ、たまに痛むけど、大したことないよ」
「そうか…なんかあったら無理せず言えよ」
昨日の現場を葉山は間近で見ている。心配してくれていたようだ。ありがたい。
なら、ついでにあのことも聞いてみるか。
俺が口を開くより早く、葉山が俺に問うた。
「昨日、早乙女の家で話したことなんだけどよ…」
俺と同じことを考えていたようだ。
「そう、そのことなんだけど全然覚えてなくて。何の話をしてたの?」
葉山が顔を下げる。少し考えた後、葉山は明るく答えた。
「いや〜あれだけ殴られて打撲だけで済むって、お前頑丈なんだなってだけだ」
何となく違和感を感じたが、この時は深く気にしなかった。
「それにしてもよ…」
葉山がつぶやく。
「将也お前、おもろいな」
ん…?なんのこっちゃ?
「クラスでの印象と全然ちげーからさ」
一瞬動揺してしまう。だが今の俺に、早乙女の時のような絶望感は無かった。
っ……
「何となく…葉山の前だと、偽らなくていい気がするんだ。自分を」
自然と口から出ていた。これを過去の俺が聞いたら、ぶん殴ってきただろうな。
この言葉に、嘘はない。悔いもない。
道化としての俺ではなく、命苫将也としての言葉。どんな結果になろうと、後悔はしない。
「そっか。そりゃ嬉しいぜ」
ごめん明日香。少しだけなら…許してくれるよな。
問題児としての俺も、道化としての俺も。こいつは受け入れてくれた。
「じゃあ、オレはお前の友達1号か」
「よかったね」
いつかの…優しいあの子の声が聞こえた気がした。
あああああ
自分で作ったキャラが青春してるー!!
やべえや、ジェラシーが…




