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プロローグ


見切り発車(マッハ2)

 







「おお!これがアルマスかぁ〜!」




 アルティメット・マスターズ。縮めて、アルマス。

 パートナーモンスター、通称パトモンと呼ばれる人間の力を借りて成長・進化する不思議な生き物を使役して、他のプレイヤーや敵対モンスターと戦う新感覚VRMMOを謳っている。

 設定の基礎部分が20XX年においても大人気な某有名RPG、要するにポ○モンの影響を多分に受けていることが誰の目にも明らかなのは触れてはならない。



 プレイヤーが直接戦闘行為をすることは絶対になく、トレーナーとして育成したパトモンに代わりに戦ってもらう。

 昨今の流行りであるスーパーアクション系ではなく、古き良き育成シミュレーションのシステムを導入し、適度に発展させたようなイメージのゲームである。

 当然似たようなゲームとして強力すぎる対抗馬となるポ○モンなんかも時代に合わせてVR化しているが、ターン制によるシステマチックな環境からリアリティ重視になったことでガチ勢エンジョイ勢問わず適応出来なかった者は少なからず離れてしまった。

 そこで登場したのがアルティメット・マスターズというわけだ。

 もちろんアルマスもVRMMOなのでターン制バトルではないけれど、環境が荒れすぎて地獄と化したポ○モンから戦略的撤退を果たした層の受け皿には充分だった。



 斯くいう俺は単純に完全新規の育成ゲームに釣られてきた口だ。

 ポ○モンを筆頭に他の既存タイトルも大好きだし、もちろんプレイ済みなのだが、どうしても既存キャラの流用が多くなってしまう関係で新鮮味が薄れて久しい。

 運動音痴でVRアクション系には不向きなこともあって昔から自分が直接戦うタイプのゲームは避けていた。

 元々の育成ゲーム好きが高じて、気が付けば主要な育成ゲームには粗方触ってしまっていたので、ここらで新規開拓をしてみるのも面白そうと思い立ったのだ。



 アルマスは初期から課金コンテンツが用意されていたが、金額としては子供もお小遣いで課金出来る程度だった。

 課金の内容は幾つかあるが、例えばスキル関連だとレアスキル確定+1(500円)、レアスキル確定+2(1,500円)、ブラッドスキル確定(1,000円)などがある。

 お手頃価格で初めの一回のみ、ともなれば親御さんたちも少しは財布の紐を緩めてもいいかと思うかもしれない。



 その点で言えば、俺はもう高校生だ。

 地元では一番偏差値の高い高校だけど、意外と校則は緩くて学校に申請さえすればアルバイトはしても良いと周知されている。

 そうじゃなければ別の高校に行ってた……地元だとバイトOKなのここだけなんだよな。義務教育は終わってるんだからバイトくらい自由にやらせてくれよ、って思うのは子供だからなのだろうか?



 まあ、そんなわけでバイト掛け持ちして毎日働きまくっていたので高校生にしては小金持ちなのだ。多少の課金くらいではビクともしない。

 今からちょうど一年前に行われていたアルマスのオープンβテスターの抽選に落ちてさえいなければ、ここまでのバイト戦士にはなっていなかっただろう。アルマス普通に買おうと思ったら高いんだよなぁ……。

 βテスターはテスター特典として正式サービス版をプレゼントされると聞いているが、全くもって羨ましい限りである。



 そんな一般高校生にはお高いアルマスだが、遂に手元に届いたのだ!

 ちなみに、二桁万円である。家電製品かな?




「何はともあれ、こうして手に入ったならやることは一つだよな!」

「あっ、お兄ちゃ────」




 興奮からつい独り言をこぼしながら、自分の部屋に向かって全力ダッシュ。

 部屋に飛び込む直前に妹から声を掛けられたような気もするが、きっと空耳だろう。無視して扉を閉めてから念のために鍵も閉めておく。戸締りは大事だからな!




「もうっ!お兄──ん!どうし──視するの!?」




 扉からガチャガチャと喧しい音が鳴っているが、ここは無視一択である。

 部屋に入れたら最後、私に構えと小一時間は確実に拘束されることは想像に難くない。長い時は平気で六時間くらい飯抜きのまま通しで喋り倒すからな、あの愚妹は。

 例えばこれがゲームで一緒に遊ぶとかなら考慮に値するけど、延々と化粧品やファッション、友達とショッピングに行った話を聞かされる側の身にもなってほしい。毎度気の利いた返しを考えるの大変なんだぞ。




「まあいいや。って、そんなこと考えてるうちにロード終わってるじゃん。へへっ、楽しみ〜!」




 ダウンロードも終わったので、意気揚々とヘッドギアを被ってベッドに寝転がる。

 トイレは事前に行ったし、水分補給も問題ない。このために早起きして夕飯もレンチンで済む物を作り置きしてある。外に干した洗濯物は夕方になれば愚妹が部屋内に入れるくらいはしてくれるだろう。

 未だに聞こえるガチャ音を無視して頭の中で最終確認を済ませると、手元のコントローラーで部屋の電気を消す。あとは起動するだけだ。




「『アルティメット・マスターズ』、リンクスタート!」




 音声認証によって、ゲームが起動する。

 意識が暗転していく中、俺の胸中はアルマスへの期待で一杯になっていた。








書き溜めもないので次の投稿は未定。

衝動的に書いただけなので続くかどうかさえ未定。


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