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7 レオス・ヴィダールは奔走する

 レインと一つ目の突発迷宮を攻略した後、1日後には消滅する旨を伝え、残りの迷宮に向かった。距離的に一つ攻略した後、一晩おかないと間に合わないようなので今日はもう一つだけだ。そもそもそんなに連続でやれるほど体力も有限じゃない。


 といった感じで2つ目の突発迷宮を踏破しにいき、順調にコアを破壊した。このコアを破壊するのは誰にも譲らない。また一つ、魔力が格段に増えた。強くなっている、これだけのことで、今まで必死に魔力枯渇まで頑張っていたのが何だったのかと思えるくらいだ。


 レインには少し変なものを見るような目で見られたけど仕方ない。きっとにやけていたんだろう。俺は興奮を抑え、次の日の突発迷宮の攻略に向けて休んだ。

 そして次の日早速残りの迷宮にも向かい、レインと共に迷宮を踏破した。


「レオス、ありがとう! これで私の領内は安全だね」


「ああ、ただまたいつ湧くか分からないから、湧いたらすぐ連絡するんだぞ。俺にだぞ、一番最初にだ」


「う、うん、そんなに前のめりにならなくても分かってるよ、レオスちょっと変だよ?」


 俺が変? 変かな。まあそういうところもあるかもしれん。ちょっと気が逸っている部分は否めない。さて、他の迷宮の情報を集めるか、アインのところは……多分あいつが解決するだろう。


 俺は他の領地で未だ解決していないところをカモールを同行させて回った。中で出る魔物は特段強いこともなく、ボスだけが若干強い程度。それもカモールと2人ならば大した障害にはならなかった。


 俺は日に日に増えていく魔力量に益々酔っていった。

 いくら威力が低い闇魔法と言えども、これだけの魔力量を込めれば同程度まで撃ちあえるだろう。以前のエレオノーラの魔力量が変わっていなければ、それを凌駕する魔力量になっているはずだ。

 これはもう俺は最強なのでは? 俺に敵う者などいないのかもしれない。

 いや、まあまだそう決めつけるのは早い。アインだって対魔法戦の実力をあげているかもしれないし、エレオノーラも剣術を学んで強くなっているかもしれない。


 それに同性代だけじゃない。世の中には俺の知らない猛者がひしめいているのだ。そう考えればまだまだかもしれない。でも少しは自分の力に酔ってもいいんじゃないか?俺は最強だ! 最強だぞ!!


 その日は興奮して寝付くのが遅くなった。


 そうして俺が迷宮の踏破に精を出しているうちに、学園の復興も進み、ちょうどほとんどの迷宮が消え去ることとなった。結局原因はつかめず、這い出てくる魔物により被害が多少出たようだった。

 俺はボーナスステージももう終わりかと少し残念に思った。なんとか人為的に迷宮を作り出せないかと研究しようかと本気で考えた。しかしそんな夢みたいな話を現実にするよりは地道に鍛錬を重ねたほうがましだと結論付けた。


 学園が再開したのはベリトが学生寮を破壊してから2か月後、驚異的なスピードで建設された学生寮は以前よりかなり綺麗になった。まあ新築なのだから当然だが。


 学園ではいつも通りの面子と再会した、剣の達人アイン、魔法の申し子エレオノーラ、その双子の弟リボーン、皆特進クラスの面々だ。

 そして今回の迷宮で魔力があると発覚した兵士で若い者は編入生という形でBクラスへと入っている。年齢的に厳しいものは騎士団の元で魔力の扱いを習っているらしい。


 そして驚いたのが国が迷宮を壊さず確保しているということだ。すべてではないが、いくつか安全が保証出来る範囲でだ。中で発生する魔物から得られる魔石の研究に、魔力持ちかどうか判別するために残しているのだという。


 そのうち授業の実習にでも使われそうだなと思った。そういうイベントなかったっけ? 記憶が曖昧だから分からん。


 俺は特進クラスに結構ギリギリな時間に入る。そして目についた面々に声をかける。


「皆、元気にしてたか?」


「レオス、当然だろ。僕のところもダンジョンが出て忙しかったけど」


「わたくしのところも大変でしたわ~。魔物の討伐に駆り出されて」


「まあ大体僕片づける羽目になったんだけどね」


「なんですの!?」


 余計な口を挟んだリボーンにエレオノーラが彼の口を掴み横に拡げる」


「いひゃいいひゃい」


「それにしてもレオス聞いたよ、国中の突発迷宮を破壊したんだって? ……ん? なんか魔力増えた?」


「あ、ああ、少しな」


 本当はもっと増えているけど、馬鹿正直に見せびらかすわけにもいかない。魔力を魔力循環に回し、魔力の放出を極力抑える訓練をしてこれである。漏れ出る魔力量はそれでも隠しきれない。


(でもこれならエレオノーラの倍はあるだろ)


 俺は密かにほくそ笑んだ。間違いなく、俺はこの世代で一番の魔力量だ。それに剣術もアインに次いでいる。しかも魔力循環を行って戦えば、その膂力差で多分勝てるだろう。もう俺に敵はいない。そう思うと自然と笑みが零れていた。


「なにか嬉しそうだねレオス」


「あ、ああ。そうか? 笑ってたか俺」


 アインの指摘にようやく自分の表情に気づく。

 しかしどうしようもなく溢れ出る最強だという万能感、これに酔いしれないでいろと言うのは無理というものだ。

 俺はその日の授業が上の空になるくらい、ぼけーっと過ごしていた。


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