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1話目

 学校に着いたはいいが僕には友達がいない。

 だから友人に相談とかはできない。

 高校1年生で自分から積極的にいかなかったからだろう。

 だから一年たった2年生の今でもいない。

 まぁ、そんなことはいい。

 どうやってお金稼ぎに使おうかな。




 授業中にも考えているが楽しい。

 これはいわゆる宝くじで3億円当たったらどうする?の現実になったバージョンだからだ。

 しかも3億円という誰でも使えるお金ではなく僕にしか使えないサイコキネシスという優越感。

 にやにやが止まらない。

 今日の僕は少し気持ち悪いかもしれない。

 僕を客観的に見た僕の理性がそう告げる。

 それを我慢してもすぐに叫びだしたいような名状しがたいうれしい、楽しい、ゾワゾワ、するようなものが胸の内から溢れそうになる。



 その日はずっと心が上の空だった。 


 








 翌日は前日より頭がずっと冷めた。

 僕の頭では思いつかなかった。

 しばらくお金稼ぎはいいかもしれない。

 多分僕自身の社会経験が全然足りない。

 どんな仕事があるのかもよく知らない。

 だから社会に出てからでも遅くはないだろうと思った。

 それまではちょこっと悪戯するぐらいで使おうかな。



 理科の授業中。

 理科の先生は、雑談や自分が経験したことの経験談をしてくれるから好きだ。

 厳しくないのもいい。


 その授業中、急にみんなが前を見ている中チョークを浮かして動かしたら面白いかもと思った。

 黒板をチョークで書くのはさすがにやりすぎかなと思ったので動かすだけだ。


 僕の席は一番後ろの真ん中らへんなので少しあたりを見渡せばみんなが見える。

 チラッと見渡して誰もこちらを見ていないのを確認した後チョークを少し持ち上げる。


 超能力を使う時特に腕を前に出す等の動作は必要ない。

 ただ思うだけだ。


 1本のチョークを先生が板書している中、教室を一周するように飛ばす。


 「うお!」

 「すご!」

 「え!誰!誰がやってる!?」

 「すご!」


 そんなクラスメイトの騒ぎを背中で聞いた先生は振り返って注意する。

 「あーはいはい静かにー」


 そこで戻ってきたチョークを見た先生は

 「おぉ、凄いな。まぁちょっと声落として静かにな。」

 といさめる。


 それを聞いたクラスメイトは少しざわめいたままだったが先生が授業をそのまま進めていつも通りになる。



 授業が終わり一気にざわめく。

 ほとんどは飛んだチョークの話だ。

 誰がやったのかどうやって飛ばしたのか聞いて回っている奴、さっきのことはどうでもいいと仲間内で関係ない話をする奴ら。

 飛んだチョークを触って観察している奴もいる。

 聞いて回ってる奴はもうすぐ僕にも飛ばしたか聞いてくるだろう。


 「渡辺!お前飛ばした?」

 聞いてきた。


 「いや、知らん。飛ばしてない。」

 「そうか。マジ誰!」



 みんな超能力だとは思ってなく、マジックだと思っているようだ。


 楽しい。

 みんながあのチョークを話している。

 僕が操ったんだ。

 超能力という特別な力。

 僕だけが知っている優越感。

 とても楽しい。

 そんなに派手じゃないのが僕の悪戯心をくすぐる。

 ずっとこんな気持ちでいるとそのうちボロを出すかもしれないと思った。

 そんなことを思ったとき少し気分が落ち着く。



 僕はあまり話がうまくない。

 口下手だ。

 悲観的ですぐに物事の最悪のケースを思い浮かべてしまう。

 そうやって少し考えてしまうから会話のテンポが悪くなってしまい、場が冷めてしまう。

 面白いことも言えないから、小学生のころから少しずつ僕は遊びに誘われないことが増えて高校生の今では、最初から友達を作らず僕は一人でいることが当たり前になった。

 いじめではない。

 ただ僕が自分から離れただけだ。

 場を覚めさせるくらいなら自分一人でいた方が気楽でいいと思った。


 悲観的であるが楽観的でもある。

 悲観的であるがためにクラスメイトがこちらを見ながら話をしているところを見ると、悪口を言われているのかと少し気分が悪いが楽観的であるがためにどうでもいいかとも思う。

 他には今まで事故とか懸賞とか運が良くて何とかなってきたからっていう気持ちもある。



 

 一人が気楽でありほんの少し寂しくあり、少し人がいるだけで鬱陶しくも感じる。

 こんな僕は面倒くさいだろうということを自覚している。

 顔は普通だし、身長も高くもない。

 親も至って普通。

 こんな普通な僕が僕は好きだ。





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