プロローグ
よろしくお願いします
「ハァ…、ハァ……」
クソ!しくじった。敵をとれなかった………。それに、俺も腕を斬られちまった。だが、あの野郎の脇腹を斬ってやったぞ!
「いたぞ‼」
奴らが追い付いてきたか。クソ!刀な重くなってきた……。
「藤治郎!ここまでだ」
回り込まれたか……。戦うしかないな。腰に差した刀を抜き構えるが、クソ!刀が重くなってきた……、手が震える。
「はぁぁぁ!」
敵の一人が刀を抜き向かってくる。それを受け止める。ガキィンと鋼のぶつかり合う音が夜の町に響く。
鍔迫り合いのなか後ろから他の奴が斬りかかる。体をずらし避け、スキが出来た所に首をめがけて斬る。すかさずもう一人の胸を刺し捻る。血が飛び散る中、問い掛ける。
「なぁ、三國の野郎は死んだか?」
「………親方様は、亡くなられた」
「なぁんだ…、くたばったか‼ハハ…!」
「貴様は私が殺す!御前達は手を出すな」
「始めからそうしろよ」
三國屋で一番強い奴が相手か。それに不味いな、視界が霞できた…。
「いくぞ‼」
バァッ!と、ひと踏みで懐まで飛び込んできた。下から斬り上げてきたのを後ろに避けるが、無理な体制だったためバランスを崩した。相手はそれを見逃してくれずその刃で胸を斬られる。
「どうした?ふらついてるぞ」
一方的に斬りつけられもう体が思うように動かない。
「ここまでのようだな」
ああ、ここまでか…、動きがゆっくりに見える……、視界が白くなってきた………、昔の記憶が駆け巡る…………、これが走馬灯ってやつか。
すまなかったな、親父、お袋、店を守れなかった。それに、麻紀。お前を守れなかった日のことは忘れられない……。三國屋がうちの店を襲いに来た日、俺が店を留守にしていたから居合わせた麻紀が殺されてしまった……‼
刀が俺の体を目掛けて振り下ろされる。避ける力は無い。せめて相打ちにでも………‼‼‼、歯を食いしばり鉛のように重い腕を上げ刀を相手に向けて突き刺す!
「なぁ…⁈、ぐぅあぁぁ………‼」
「がはぁ………!」
バァシャッ、と辺りに血が飛び散り藤治郎が倒れこみ、相手も膝をつく。
「「「「「兵藤さん⁉」」」」」
周りでは三國屋の者共が慌てふためいているが両者ともに即死であった。藤治郎は胴を斬られ、兵藤と呼ばれている男は心臓を一突きにされ。
してやったり、と内心でほくそ笑む。そして藤治郎の意識は闇に飲まれていった。
ーーー………
突然目の前が輝きだしてきた。赤黒い光に温かい何かに体が包まれている。何故か懐かしく思う感覚に意識が覚醒する。自然と体が上えと向かっていき狭い道を突き進むと急に何かに引っ張られる。先ほどより強い光のもとに体が放り出されて生温い水に浸かる感触。
眩し過ぎてまだ目が開けられない中、体が宙に浮き柔らかい布に顔以外の全身が包まれる。
「******」
聞いた事もない言葉で誰かが話している。
「******」
光にも慣れてきて目を開ける。
!??!!!
当然だよな、俺が極楽浄土に行けるわけがない。地獄に落ちて当たり前だ。何故なら目の前には、金の髪に長く尖った耳の人に似た鬼がいたからだ。
「******」
何でか分からんが無性に泣きたくなってきたぞ…?
「………………ッ」
ダメだ…、我慢できん⁉
「おぎゃぁぁぁ~~~‼」
………おぎゃぁだと⁈
プロローグですが感想等ありましたらお願いします。