たくちゃん先生!
あの羽を拾ってから大体1年と半年位が経った9月。
拾った羽は埃がついたりもせず真っ暗だと微妙に光って見えることからやはり天使の羽だろう。
その羽は私が大事にしていたため、母がネックレスにしてくれた。金属に紐を通した物のため私が成長しても紐を変えれば使えるだろう。
ただ無くしたりしたら嫌なので外に出るときは外して家にいるときだけにしている。
「千秋ーおいでー?」
父が呼んでいるのでそちらに行き膝の上に座る。
「今日で千秋は何歳になったかなぁ?」
またこの質問か。
「3歳!」と言い指も3にする。
恥ずかしいが出来るだけ子供らしくしたほうが両親も喜ぶ。
「かわいいなぁ!そう!3歳になったね!」
頭をワシャワシャと撫でてくる。
転生して初めて撫でられたときも思ったがこうやって撫でられるのは気持ちがいい。
「冬馬さんまた千秋に同じ事聞いてる…」
若干呆れている母。
冬馬とは今も私を撫でている父の事だ。
「だってよ小春、こうやって千秋に聞いて撫でると気持ち良さそうに目を細めるんだよ?すごく可愛くない?」
目を細めてしまうのは恥ずかしいが条件反射なのでどうしようもない。
「千秋の可愛いところよねぇ。ただ髪がくしゃくしゃになっちゃうからそこら辺でやめてあげなさい。」
「たまにしか帰れないんだしこういう時くらい良いじゃないか。なぁ千秋?」
気持ちよくて思考能力も落ちてるので思ってるまま答える。
「いいよー。パパすきー。」
撫でられるのが とつけ忘れた。
「うおおお!聞いたか二人共!千秋が俺の事好きって!!」
「聞こえてますよ。ただ千秋の側であんまり大きな声出さないようにね冬馬さん。」と釘を刺す夏陽子おばあちゃんと
「はいはい。聞こえてたわよぉ。もう。冬馬さんのこと好きなのは千秋だけじゃないわよ。千秋だけじゃなくて私も構いなさい。」と拗ねながら甘える母。
「拗ねた小春も可愛いなぁ。ちゃんと構ってあげるから。ほら、おいで?」
撫でるのをやめられてしまった。残念。
「それなら良し。千秋ー?交代よぉ。」
夫婦仲が良いのは嬉しいので素直に交代する。
「じゃああたしがかわりに撫でようかね。おいで千秋。」と言いながら膝の上をポンポンする夏陽子おばあちゃん。
「はーい。」と言い座ると夏陽子おばあちゃんは優しく撫で始める。
「ちょっと軽くなった?」
「千秋産んでから太ったし最近はランニングしてるの。美人のほうが冬馬さんも嬉しいでしょ?」
「少し肉づいた小春もかわいいけどなぁ…前みたいに倒れるまでとかはしないでね。」
「あのときは意地になってただけよ。それに千秋もいるんだから無理なんてしないわよ。」
「なら良いんだ。」
それから20分位して…
「あんたらそろそろイチャイチャするのやめて片付けしな。」と夏陽子おばあちゃんが撫でながら言う。
「おばあちゃんも千秋寝ちゃったから撫でるのやめてあげなー?」
「ありゃ撫でるのに夢中で気づかなかったわ。」
「それにしても3歳かぁ。大きくなるのは早いなぁ。」
「そうねぇ…ああそうだ。3歳の誕生日も終わったしそろそろ幼稚園かしらねぇ。」
「幼稚園というと託がやってる所が近所にあったな」
「託って中学一緒のクラスだったオネエの託ちゃん?」
「そうそう。オネエの託ちゃん。」
「託ちゃん保育士なってたんだ。知らなかったわぁ。」
「なったのは最近みたいだから知らなくてもおかしくないよ。前からなりたくて仕事やりながら頑張ってたみたい。」
「頑張ったのねぇ…」
「託ちゃんなら千秋を安心して預けれるよ。幼稚園も近いしね。」
「そうね。明日連絡とりましょうか。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
数日後。
母に連れられやってきたのは家から徒歩7分位の位置にある幼稚園。おそらくここで6歳になるまで過ごすことになるのだろう。
「それでは託ちゃん、千秋をよろしくお願いします。」
そう言い男性に頭を下げる母にならい私も頭を下げる。少し長くなった髪がたらんとする。
「任せて!こんな可愛い娘初めて見ましたからあたしも全力でお世話するわ!おいでちあきちゃん!」
予想外の口調で驚き、頭を下げた状態で固まってしまった。
「あらぁ緊張してるのかしら。先生はこわくないわよぉ?ほら、うさちゃん!」
エプロンの胸ポケットからグッタリとしたうさぎのぬいぐるみが出てきて私の前で踊りだす。
驚いたが先生の化粧した顔や話し方を考えるにいわゆるオカマさんではないだろうか。
とりあえずはやく顔を上げて先生について行こう。
「あら良かった!うさちゃんが好きなのかしら。やっと可愛いお顔上げてくれたわねぇ。あたしはたくって名前なの。たくちゃん先生って呼んでねぇ。よろしくお願いねぇ。」
うさちゃんが好きな訳では無い。
「よろしく…お願いします…?」
少し困惑しながらたくちゃん先生に挨拶をした。
「仲良くなれたみたいで良かったわ。千秋?お母さんは買い物行ったりするからたくちゃん先生と一緒にいてね?ほら指切り。」
母はニコニコとしながら小指を出してくるので指切りをする。
「ゆびきりげんまん嘘ついたらお父さんのインナーかーがす!ゆびきった!」
いつも思うがそれはやめてほしい。
それと心なしかたくちゃん先生の顔がうげぇって顔になった気がする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はーい!みんなぁ!おはようございます!早速だけどこれから新しい友達とご挨拶しましょう!」
「ちあきちゃん。みんなにご挨拶出来るかな?」
コクリと頷き。
「竜城千秋3歳です。これからよろしくお願いします。」
そう言いペコリと頭を下げる。
「おおー!ちあきちゃんはハキハキ喋れるんだね。すごい!」と言いながら拍手をするたくちゃん先生。それにつられ拍手する子供達。何人かは興味なさげにボーとしていたり、逆に目をキラキラさせながら物凄い拍手をしてる子もいる。
「じゃあ、ちあきちゃんを歓迎してみんなでどんぐりころころを歌いましょう!ちあきちゃんはそこで座って聞いていてね。」と言って空いてる一つの椅子を指す。
自分も歌えるが言うことを聞いといたほうが良いだろう。椅子に座る。
「どんぐりころころどんぐりこ〜♪」
たくちゃん先生の演奏に合わせて私の方を向き子供達が歌い出す。何人かは私と顔が合うと顔が赤くなったりした。歌ってる時に顔見られたら恥ずかしいよね。ごめんね。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
誤字脱字ありましたらご指摘いただけるとありがたいです。
だんだんとブックマークやいいねが増えてきて本当に嬉しいです。これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いいたします。