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幕間 ルフナ 切り傷 5/7

 転生してきて一週間、なかなか上手くいかない。教会の人達はやっぱり、とっても優しい。

今日は新しく来るかもしれない神官さんのために、お部屋のお掃除をしてた。なんにも考えずに、ただ手を動かすといつの間にかピカピカになっていた。ただ、天井のはりのところにいた十本足の蜘蛛の住処を奪ってしまって、申し訳ない気持ちになった。

昨日の農園でのお仕事は、農具のお手入れだった。砥石で鎌を磨いていると、時間が経つのを忘れるぐらい集中できた。一昨日のキモチワルイ出来事が忘れられるぐらいに。

でも、その作業の終わり際、鎌の切れ味の確認をしている時に、なんだか変なデジャヴを感じてぼーっと立ちすくんでいた。それで気付いたら、右の人差し指を切ってしまっていた。

小さいけれど、少し深く切ってしまったみたいで、中々血が止まらない。だんだん痛みも強くなってきて、私はひとり、あたふたしていた。そしたらすぐに、ハゼットさんが飛んできた。

ハゼットさんは傷口を見てから、その場でそっと祈りだした。すると傷口が淡く光って、血が止まった。だんだんと痛みは薄くなって、私が恐る恐る触ってみると、既にカサブタが出来ていた。

私に治癒の魔法が効いて良かったと、ハゼットさんは安心していた。私がお礼をいうと、ハゼットさんはにっこり笑って、また作業に戻って行った。


小さな小さな傷。けれど、私にはとっても痛かった。前世で読んでた漫画とかの主人公達は、指を切るどころか、もっと大きな傷にも怯まずに戦っていた。勇者になりたかったという私は、こんなちっちゃな切り傷ひとつで動けなくなる。だってこんなに痛くて、怖いんだよ?

やっぱり私は勇者になんてなれない。何度目かの確認。だから私は、とにかく何か役に立ちたい。何かしていたい。

ヤクタタズだなんて、思われてたらどうしよう?

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