進藤武史と本条花凜 後編 side:進藤&本条
「お、おはよう」
私の口から自然と出た言葉。
なぜそう言っていたのか。それは自信過剰だったからか、はたまた話したいと思っていたからなのかはわからない。
ただ私に出来るのは、返事を待つことだけだ。
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「お、おはよう」
と、確かにそう聞こえた。
この教室にいるのは俺と本条さんだけだ。つまり、この声は本条さんの声だ。
俺から話しかけようとしていたのに本条さんから話しかけてくれた。
だから多分、ここは喜ぶところなのだ。願ったり叶ったりだって。
でも俺は喜べなかった。本条さんに先を越されたって、自分の情けなさを感じていた。
しかし、自分を責めるのは後だ。今は本条さんからの挨拶の返事をしなければ。
ゆっくり、いつものように、自然に。そう自分に言い聞かせる。
「あ、あぁ、おはよう」
まぁ無駄だったけれど。案の定、俺の返事は少しテンパっているような返事になってしまった。
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まずい。
完全に見切り発車の挨拶だったから、会話を続けるための内容が全くない。
と、とりあえず本を閉じようそうしよう。
なにか会話、なにか会話……あ!
「進藤くんって確かサッカー部だよね? 今日は部活の朝練ないの?」
……んー、ないからきっとここにいるんだろうなぁ。
進藤くんごめんねつまらない内容で……
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「今日はないよ。俺のとこだけじゃないみたい」
……そんなこと分かってるよなと、そう思いながら俺は言っていた。
運動をしている音がしない、そもそも人がいない。
予想以上に俺は舞い上がっているのかもしれない。
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「そっか……にしては今日、進藤くん学校に来るの早いね」
朝練がないならゆっくり学校に来るはずだ、と思ったが私は少し罪悪感を感じた。
朝練がない日はゆっくり、なんて私の固定概念だったなって。進藤くんに申し訳ないことをした。
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「ちょっと朝早くに目が覚めてね。いつもの癖ってやつかな」
大丈夫、いつも通りの会話ができているはず。
だんだんと、交わした言葉は少なくても緊張が和らいでいくのを感じる。
本条さんと話していると自分の気持ちが本当なんだって、好きなんだって実感できる。
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「そうなんだ……」
……まずい、会話の内容が浮かばない。
この静寂の空気をどうにかしたいのに何を話したらいいかわからない。
いっその事、誰か来てくれれば……
と私は思っていると、
ガラガラガラッ
と、そんな時に勢いよく教室の扉が開いた。
「お、武史じゃねえか。はやいな!」
どうやら進藤くんのお友達が来たらしい。……申し訳ないけど私の知らない人だ。
ここで会話は終了。助かったという安堵の気持ちと、もう少しだけ話したかったという名残惜しさを胸に、私は再び読書を始めた。
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あぁ、もう少し俺が話題とか出せばよかった。
俺はいつも後悔している気がする。
前に進むことをなぜ躊躇っているのか分からない。
俺は……どうしたいのだろうか。
構成がわかりにくくなってしまいました。申し訳ないです。




