夏祭りの後 side:進藤武史
俺にとっての夏休みは休み、では無く、ほとんど部活だった。
この高校のサッカー部は県大会出場常連校らしく、今年こそは全国大会に行くぞと意気込んでいた為練習は厳しかった。
朝早く起きてすぐに学校に行く。そして日が沈むくらいまで練習して家に帰って寝る。
ほとんど自由時間はなかったから、睡眠時間を無理矢理削って作るしかなかった。
それでも俺は苦に感じていなかった。その理由は、俺はサッカーが大好きだからだ。
小さい頃からサッカーをやっていて、クラブチームにも入っていた。本当にサッカー漬けの毎日だ。
ずっとサッカーに囲まれて生きてきた。
だからこそ、今、俺がサッカーに対してやる気がないことがおかしいことなのだ。
色んな人から心配された。自分がおかしいことは自分でも十分わかっている。
それでも、俺はあの夏祭りの夜を忘れることが出来ないし、ずっと後悔し続けている。
なぜあの時に告白してしまったのか。なぜあの時、嘘だと言ってしまったのか。なぜあの後、本条さんに一言も声をかけなかったのか。
後悔しても意味が無いことはわかっている。でも、後悔せずにはいられないのだ。過去に戻れるなら戻りたいと本気で考えてしまうほどに。
夏祭りの後、俺は一日中家に引きこもっていた。
家族にも部活の顧問にも体調が悪いと嘘をついて、引きこもっていた。
サッカー以外の事でこんなに悩んだことは今まで1度もなかった。
これからどんな顔をして本条さんに会えばいいのかわからない。
部活に、サッカーにのめり込んでしまえば忘れられるのだろうか。
そう願いながら引きこもっていた次の日に部活に行ったが、全然集中できなかった。
部活の仲間、先輩、顧問には病み上がりだからって励まされたが、その励ましは俺にとって逆効果だった。
忘れようとするほど忘れられない。でも、だからといってずっと後悔していられない。
自分と、あの時の出来事と向き合わなければいけない。
前に進むために俺は受け入れる以外の選択肢がなかった。
そろそろ学校が始まる。
もう部活も影響なくこなせている。
だから多分、本条さんと会っても平常心でいられるはず。
ただ、好きだという気持ちはまだ確かに存在している。
これからどうするのか、具体的なことはわからない。
けれど、この恋が実って欲しいと思っている。いや、実らせる。実らせてみせる。
その意志だけは、確固たるものとしてわかっていることだ。




