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建前男子と本音女子  作者: とりけら
高校1年生編
78/168

夏休みの宿題 side:本条花凜

※前話の「勉強会」の前編、中編、後編それぞれでの本条花凛視点になっています。

〜勉強会 前編〜


 私は今、図書館に来ている。

 少し早めのお昼ご飯を食べてから、この図書館にやってきた。

 時刻は12時30分。約束の時間の30分前だ。


 早く来た理由は特にない。強いて言うなら私が待ち合わせ時間よりも早めに来てしまう性格だから、だろうか。

 私は今、談話コーナーで小説を読んでいる。斉藤くんたちが来るまで特にやることも無いし。

 しかし、どうもいつもみたいに読書に集中できないでいた。


 まぁ、緊張しているのも無理はないだろう。だって斉藤くんのこと好きなのかもしれないって分かっちゃったし。

 かもしれない、だからあんまり気にしてないつもりだったんだけどやっぱりどこか気にしちゃっている自分がいる。こればっかりは多分、慣れだろう。


 緊張している理由はもう1つある。それは何となくクッキーを焼いてきてしまったことだ。

 これも焼いたことに対して特に理由はない。勉強していて疲れた時にちょっと甘いものがつまめたらなぁって思っただけ。


 クッキー自体、簡単に焼けるしそんなに苦労してない。

 ただまぁ不安要素は斉藤くんたちの口に合うかどうかだ。美味しいって言ってくれるだろうか、そもそもアレルギーとかはないだろうか、好き嫌いすら知らないから何もわからない。


「ふぅ……」


 私はひとつ、小さく息を吐いた。さっきから1ページも進んでない本の重みをひしひしと感じている。

 ……いや、クッキーは作っちゃったからしょうがないよね、うん。こればっかりは開き直るしかない。

 知らないものは知らない、これから知っていけばいいのだ。


 よし、もう気にしないぞ。私がそう意気込んでいると時刻はすでに13時を回っていた。

 まだかまだかと待っている私の心臓の鼓動は、緊張していないつもりなのに早くなっていた。

 


ーーーーーーーー


〜勉強会 中編〜


 よかったぁ……クッキー美味しいって言ってもらえて……。

 私の顔が自然とにやけてしまっている。

 斉藤くんも甘い物が好きなのだろうか、もしそうだったなら私と気が合いそうだ。


 また機会があったらクッキー焼いてこようかな、それともカップケーキとか別のやつにしようかな、と私は先のことを考えてしまう。

 とにもかくにも、気に入ってもらえてよかったと私は心の底からそう思った。



ーーーーーーーー


〜勉強会 後編〜


 やっぱり、幼馴染っていいなぁと思ってしまった。自覚は無いけど多分、私は少し妬いていたんだと思う。

 単純に知らないことを知っている、それは付き合いが長いのだからしょうがないことだ。

 私だってこれから知っていけばいいだけの事だ。


 でも……でも、本当にこれから知れるのかが分からない。これからも友達でいる保証がないからだ。

 あぁ、何故こんなにもマイナス思考になってしまうのだろう。

 私はどれだけ知らないことが多いのか、自分の無知さを密かに恨んだ。

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