ピクニック side:本条花凜
「よいしょっと」
景色を存分に堪能した後、私は日陰のベンチに座った。
やはり日向は暑いし、太陽の光が本に反射して読みにくいからだ。
私はリュックから1冊の文庫本を取り出す。
栞を指したところを開き、1ページずつ普段よりも少し遅いペースで読んでいく。
この場所の、この雰囲気のせいだろうか、時間がとてもゆっくり流れているように感じる。
ちなみに今私が読んでいる本は恋愛ものだ。別に狙ったとかじゃなくて、本当に偶然。栞挟んでたし、偶然。
……まぁ、少しくらい恋愛のことが知れたらなーって思ったり思わなかったりしてるけど。9割くらいストーリーが面白いって評判良くて気になってただけだから。本当に。
とまぁ、心の中で雑念を必死に払いながら私は読書を勤しんだ。
しばらく経って、私は空腹を感じてきた。
時計を見ると12時を過ぎている。気づいたら約2時間読書をしていたようだ。
「お昼にしよう」
私はリュックから小さい手提げバックを取り出してベンチに置き、そこからお弁当箱を取り出した。
お弁当箱を開けると、お母さんが用意してくれたサンドウィッチがその姿を現す。
市販の食パンにトマトやレタス、きゅうりが挟んである野菜サンドウィッチや固めで茹でた卵を薄く切って少量のマヨネーズと一緒に挟んだ卵サンドウィッチなどなど、たくさんの具材が使われているサンドウィッチだ。
私は手を合わせ、
「いただきます」
と、感謝しながらサンドウィッチを頬張る。
「おいしい~」
自然と声が出てしまう。
昨日の食べ歩きの除いて、こういう野外で食べるピクニックをするのは久しぶりで、いつもより美味しく感じる。
1つ、また1つとどんどんサンドウィッチを食べていく。そして気づいたら、あっという間に完食していた。
水筒を手に取り、ぐびぐびっと麦茶を流し込む。
そして、
「ん~、ごちそうさまでした!」
と、私は手を合わせて元気な声でそう言った。
正午だからだろうか、少しぬるい風が吹いている。それでも気分は悪くない、それどころか最高だ。
突拍子な思いつきでこの天地展望台にやってきたが、来てよかったと心の底から思う。
お弁当箱と小さい手提げバックをリュックにしまい、わたしは再び読書を始めた。
1時間半が経過したあたりで、
「んん~~」
と、私は伸びをした。読んでいた本が読み終わったのだ。
「本、返しに行かなきゃ」
私は本をリュックにしまい、ベンチから立ち上がってリュックを背負う。
最後にもう一度、町の景色を見て私は階段を降り始めた。
また来るだろうに、最後まで名残惜しそうに景色を見ていたのは秘密だ。




