祭りのあと side:本条花凜
「あー……ちょっとのぼせちゃったかも……」
私はお風呂から出ると、バスタオルで体を拭いてからパジャマに着替えた。
その後、私はドライヤーで髪を乾かし始める。
少しのぼせたせいか、まだ夏だから気温が高いせいか、ドライヤーの温風のせいか、はたまたその全部のせいか、せっかくお風呂に入ったのに汗が出てくる。
バスタオルでうなじの汗を拭きながら、髪を乾かし続けた。
長い髪の毛がドライヤーの風でふさふさと揺れる。いつからだったか、もうずっとこの長さだ。肩甲骨の辺り、いや、脇の下くらいの長さと言った方が分かりやすいだろうか。
半乾き、というところで私は暑さに耐えかねてドライヤーのスイッチを切った。
1度リビングに行き、冷たい麦茶をコップに注いでからそのコップを持って自室に向かった。自室は、お風呂に入る前にクーラーを付けておいたから十分に涼しい。
私は麦茶の入ったコップを机の上に置き、椅子に座った。
「はふぅ」
冷たい麦茶を飲み、私は一息つく。
そして、お風呂での出来事を思い出して……
「はぁぁぁ~~」
と、大きなため息をついた。
別に"好き"を否定している訳では無い。本物の"好き"を知らないから、なんとも言えないだけだ。
ただ、そもそも本物の"好き"をどうやって知るのかは知らないが。
「考えたって仕方ないし……少し本を読みたいけど今日はもう寝よう……」
私は考えるのをやめ、麦茶を飲み干してからベットに寝転がった。
静かに目を閉じると、お祭りの思い出が蘇る。
楽しかった。
その一言が、全てを表している。
友達と一緒に遊ぶことが久しぶりで。4人で遊ぶことが初めてで。
だから、
「また、行きたいな」
と、ぼそっと呟いた言葉は本心だった。
そして、それが叶わない夢だとしても、あの場所に紗英もいたらなと思ってしまった。
ぼんやりとそう考えながら、私はゆっくり眠りに落ちていった。
目が覚め、身体を起こすと少し重さを感じた。
昨日の疲れが残っているのだろうか、私は少しストレッチをしてからリビングへ向かった。
「おはよ」
お母さんにそう言ってから、私は椅子に座り朝ごはんを食べ始めた。
今日は図書館にでも行こうかな、とぼんやり考えながら私は食器を洗う。
お母さんは買い物に出かけてしまい、お父さんもいない。
「あ、久しぶりにあそこに行ってみようかな」
昨日の夜、紗英のことを考えていたら懐かしい場所を思い出したのだ。
私は用意されていたお昼ご飯をお弁当箱に詰め、小さい手提げバックに入れた。
「これで、よし」
大きいリュックに先程の手提げバックと水筒、本を入れ準備万端だ。
リュックを背負い、靴を履き、玄関の扉を閉める。
今日も暑く、太陽の日差しが痛い。
麦わら風の中折ハットを被ってきてよかったと心から思った。
私は思いを馳せながらぼそっと呟く。
「まだあるのかな、あの展望台」




