真実 side:本条花凜
時は少し遡って、お祭り終わりの帰り道。
私は、斉藤くんと綾瀬さんにさよならを告げてから1人、帰路についていた。
「……」
私はただ無言で、斜め下を向きながら歩いている。
正直、ここまで落ち込むとは思わなかった。過去にもこのようなことがあった。
でも今回は、知り合ってまだ間もない進藤くんだ。
そもそも、信じているとは言っても深く信頼をしている訳ではなかった。
なぜなら、彼と長い時間接していた訳では無いから。ただの知り合いに裏切られただけ。
しかもたった一言の嘘。
なのに何故、私はあの時取り乱してしまったのだろうか。
前回と今回、大きく違う点はどこだろうか。
そんなことを考えていると自宅に着いた。
「ただいま」
私がそう言うと、
「おかえり」
すぐにお母さんの声がした。
何やら色々と聞きたそうな顔をしていたが、
「ちょっと疲れちゃったから、お風呂入って寝ちゃうね」
私はそう言ってから自室に向かい、荷物を置いた。
私自身、あまり疲れていないと思っていたのだが、自宅に入った瞬間どっと疲れを感じていた。
慣れない環境だったせいだろうかと考えながら、お風呂場へ向かった。
「ふぅ」
体を洗い終わり、湯船に浸かる。疲れがお湯に溶けていくような気がする。
私は、ぼんやりとさっきまで考えていたことを振り返った。
前回と違うところ。……いや、わかってる。
分かってるんだけど、あらためて考えてみると少し恥ずかしくて。
どこか無意識に考えないようにしていた。けれど、きっと向き合わなければいけない時が来る。
それが多分、今なんだ。
「まぁ……うん。恋、だよね」
私は小さな声でそう呟いた。
前回は親友として、今回は恋愛対象として。正直、恋愛に関して私は全くわからない。だって今まで無関係だったし、知らなくてよかったことだから。
でも薄々、気がついていたことがあった。
それは……私が、斉藤くんのことを気になっているんじゃないかってこと。
綾瀬さんの純粋な恋愛感情に触れて、進藤くんの一瞬だったけど、私に向けられた恋愛感情を知って。
誰かのことを想うって、実は私もしていたんじゃないかって気づいた。
それが、私の、斉藤くんへの想いだ。
まだ好き、とかじゃない。何となく意識していただけ。
だからまぁ、うん。
あの時……、進藤くんの告白を受けた時、逃げてしまった理由は。
嘘をつかれたっていうのもあるけど、もう半分は恥ずかしさで逃げたのだ。




