祭り 後編 ④
打ち上げ花火は、1時間ほどで幕を閉じた。……俺の場合、ちゃんと見れたのは20分程だったけれど。
あまり大きな祭りではなかったから、尺玉の連発が主で最後に2尺玉が打ち上げられた。
2尺玉でも十分、音と振動の迫力があった。
打ち上げ花火が終わると、花火を見ていた人たちは後片付けを始める人たちと、宴会を続ける人たちに分かれていた。
「これからどうする?」
当然、俺たちもその選択を迫られ、武史が皆に問いかける。
「どうしよっか……」
琴葉が繰り返し言う。……俺の方を見ながら。
何故、俺の方を見ているんだ。
俺をまっすぐ見ているその目はまるで、今すぐ解散して俺と2人きりで話したいみたいな。
……いや、ないだろう。ないと信じたい……多分あるんだろうけど。
「か、解散するか」
実際、俺もぼちぼち解散したいと思っていた。
たくさん遊んだし食べたし、色々あったから結構疲れたのだ。
祭りを十分楽しめて、かなり満足だし。
もう1つ解散する理由として、さっきから本条の様子がどこかおかしい。これ以上一緒にいても空気を悪くするような、なにか思いにふけっている感じなのだ。
俺たちがいない間に何かあったのだろうか。
真実はわからないが、本条にとってもきっと解散した方がいいだろう。
「そうだな、そうしようか」
武史の一声で、俺たちは後片付けを始めた。
ゴミをまとめ、レジャーシートを畳む。
全員総出で行った後片付けはすぐに終わり、俺たちは初めの集合場所へと移動した。
移動している間、
「ぬいぐるみ、持つよ」
と、俺は琴葉に言った。
大きくて大変そうだったからだ。
「ありがとっ」
そう言って琴葉はぬいぐるみを渡してくる。
案外大きく、女の子が1人で持つどころか男が1人で持つのも少し大変だ。
俺は家に帰るまで持つことを決めた。
集合場所だった鳥居の前につくと武史が、
「じゃあ、おつかれ!」
と言った。続けて、
「おつかれ」
俺が言い、
「おつかれー」
琴葉が言い、
「……お疲れ様です」
本条が言い、
「おつ!」
淳が言う。
「また遊びにでも行こうぜ」
「いいけど、そろそろ学校始まるぞ」
武史が次の遊びに行く提案をしたが、俺はすぐに現実を突きつけた。
学校が始まるまで1週間もないのだ。……もっと休みが欲しい。
「そういうことは言わないでくれ。現実逃避したくなる」
武史の発言に対してみんなで笑った。
考えることは皆同じというわけだ。
「じゃあまたな」
「じゃあな」
「またね」
「……また」
「ばいばーい」
近くの駅にて、俺たちは解散した。
武史と淳は、駅に自転車を止めていたらしい。俺と琴葉は家が隣だから帰る方向は同じだ。
本条も途中まで同じだから、3人で帰ることになった。




