祭り 中編 ③ side:進藤武史
時は少し前に溯る。
建真と琴葉がトイレに行った、すぐあとの話だ。
俺と淳と本条さんで、残ったご飯を食べながら談笑を続けていた。
2人がトイレに行くのではなくてこれから何をするのか、俺だけが知っている。
あの時琴葉からは、
「けんちゃんと2人だけで話したいから手伝って欲しい」
とだけ言われていた。
琴葉がトイレに行きたいと言った瞬間手伝わなきゃと思ったが、みんなあまり不信には思わなかったから特に手伝う必要がなかったのだ。
手伝うとしたら、2人が帰ってくるまでの時間稼ぎだろう。
適当に誤魔化すしかない。
「2人とも、遅いね」
本条が口を開いた。
特に変わった会話もなく5分が経っていた。帰ってくるのが遅いと感じても不自然ではない。
「多分、混んでるんだよ。ご飯買う時にトイレの方を横目で見たけど、すごい並んでたし」
長年の経験から、トイレがすごい混んでいるのは知っている。今この瞬間も、混んでいるのかは知らないが。つまり俺は適当な嘘をついた。
バレなければいいが……と思ったが、
「そっか、そうなんだ」
本条さんはあっさり信じてくれた。
祭りには1人でも来ると言っていたが、早く帰ってしまうとも言っていたので、あんまり詳しく知らなかったのだろう。
しかし、いつまでも信じてくれる訳では無い。
彼らがいつ帰ってくるかわからないのだ。これからどうするか、俺は頭を悩ませる。
考えている時に、ふと琴葉の言葉を思い出す。
「私、告白するから」
告白、か……。
そういえば、俺からしたことは無かった。
こういう言い方をするのは、俺から、ではない告白を知っているからだ。まぁ、つまり告白される側だから。
高校生になってから、既に2回ほど告白されている。
その告白に対して俺は、基本的に受け入れていない、つまり断っている。というか、今までの生きてきた中での告白の全てを、断っている。
理由は、相手のことを知らないから。
みんな、一言二言喋ったくらいで告白してくる。俺は相手のことを何も知らないし、相手も俺の事を何も知らない。
そんな状態で付き合っても、きっと上手くいかないだろう。
そもそも俺自身、責任が取れない。告白してきた子を本当に好きになるかどうかなんてわからないからだ。
だから俺は、
「友達からで、いいかな?」
という返答の一点張り。
だから、告白してきた彼女たちとの関係は良好だ。特別仲が良くなることもなく、だからと言って仲が悪くなることもない。
そんな日々を続けていた。
続けていたのだが、正直、飽きを感じていた。
飽きというか、変化を求めているというか。自分から告白するってどういう事なんだろうって思い始めたのだ。
そんな時に、俺は本条さんと出会ったのだ。




