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建前男子と本音女子  作者: とりけら
高校1年生編
5/168

10分休み


「じゃあまずは軽い会話からね。んー、あ、そうだ、趣味は?」


 にこにこと、本条は笑顔で質問してくる。


「読書」


 それに対して、俺は真顔で適当に答える。

 すると本条は、一瞬にやりと笑ってから、


「嘘ね」


 と軽くどや顔しながら言ってきた。


「ほんとだわ!!」


 本条の表情のせいでツッコミみたいな感じになってしまった。


 一限は軽い自己紹介の後、今後の学校行事についての説明で終わった。今は二限までの10分休み中だ。

 二限は数学だから教室移動する必要が無い。だから、のんびり日向ぼっこでもしようと思ったら急に話しかけられたのだ。第一印象最悪の本条に。


 どうやら、化けの皮を剥がす大作戦(本条が命名)は今日、いや、今から始まるらしい。


(めんどくせぇ……)


 そう思いながら、適当に本条からの質問に返答する。


「だって読書しそうな顔してないじゃない」


「人を見かけで判断するなって親に言われなかったか?」


「私の思ったことを言っただけよ。それに嘘ついてそうな顔もしてた」


「あーはいはい、そうですかー」


 ちなみに俺は、本条を見た目で判断していた。


(大人しそうな子だと思ったのにめっちゃ喋るじゃんこいつ……見た目が嘘つきだわ……)


 本当に、物静かそうな見た目とは裏腹に意気揚々と本条は話している。

 なんというか、楽しそうに話しているのだ。作戦とか関係ないような、そんな感じがする。


「じゃあー次! 好きな食べ物は?」


「カレーライス」


「普通ね」


「普通で何が悪い」


「嘘つかないのね」


「嘘つく必要が無いだろ」


「どうだか……建前人間、いや、嘘つき人間、だし?」


「なんかその言い方は嫌だな」


「やーい嘘つき人間ー」


「こいつ……」


 やっぱり嫌いだ、いや、大嫌いだ。

 このまま次の10分休みもその次の10分休みも奪われては、俺の安心安全の学校生活に関わる。


(めんどくさいが動くしかないか……)


 俺は重たい腰を上げ、立ち上がった。


「ちょっと、どこいくのよ。まだまだこれからよ?」


「トイレだよトイレ」


「……、わかったわ」


 俺は教室から出た。


(わかったって言うまで変な間があったけど、きっと嘘ついたのバレてるんだろうな……)


 そう思いながら、俺は適当に学校の中を歩くことにした。とは言っても二限が始まるまであと6分しかない。


(自販機でジュースでも買うか……)


 俺はペットボトルのお茶を買ってから、教室に戻ることにした。

 結局、二限開始まであと2分という所で自教室に着いた。教室に入ってから本条の姿が目に入る。本条は本を読んでいる。

 俺は無言で自分の席に座った。本条から何か言われるんじゃないかと身構えていたが、授業中は話しかけてくることは無かった。


(もうこのまま話しかけてこなければいいのにな……)


 数学の授業中そんなことを思っていたが、案の定、次の10分休みでも色々話しかけられた。


(最悪の1日だ……)


 そう思いながら、俺はまた適当に返答するのだった。

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