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建前男子と本音女子  作者: とりけら
高校1年生編
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祭り 前編 ⑤


 射的の後も、俺たちは屋台を遊び尽くした。誰かを忘れている気がするが、遊びに夢中で全く気にも留めなかった。


 金魚すくいでは、琴葉が意外な才能を見せた。


「けんちゃん見て見て! 沢山取れた!」


 俺は琴葉のお椀の中を見た。金魚が10匹ほど泳いでいる。

 しかも、まだ琴葉のポイは破れていない。


「まじかよ……」


「こういうのは昔から得意なんだよね」


 確かに小学生の頃から、琴葉は沢山金魚を飼っていた。

 つまりは、そういうことらしい。


「琴葉すげえな……」


「綾瀬さんすごいね」


 武史も本条もあっけに取られていた。

 結局そんなに取っても家で飼えないため、2匹だけ連れ帰ることになった。




 輪投げは武史が上手だった。

 連続で高得点を取り、最高得点をたたき出した。


「偶然だよ、偶然」


 本人は偶然だと言っていたが、偶然には見えないほど上手だった。


「いや普通にすげえよ武史……」


「ほんとほんと、才能あるって」


「進藤くん、さすがだね」


 琴葉も本条もベタ褒めだ。景品はお菓子の詰め合わせだった。

 花火を見ながらつまむにはちょうどいいだろう。




 型抜きは予想通り、本条が得意だった。


「私、これ好きかも」


 そう言いながら本条は全種類、綺麗に型抜きをしていた。


「読書していたおかげで集中力がついたのかも」


 本条はそう言っていたが、


「そんなことないと思うけど……」


「それだけじゃないと思う……」


「絶対他になにか理由がある気がする……」


 3人の意見は一致していた。きっと才能だろう。




 千本つりは運試し程度に、1人1回ずつ引いた。

 残念ながら全員お菓子だったが、1人1人引く瞬間に一喜一憂があり、楽しめた。


 沢山遊んだ結果としてお菓子が大量に手に入ったが、夕飯がお菓子というのは味気ないし、せっかくの祭りがもったいない。

 だから俺たちは、食べ物の屋台を回ることにした。


「とりあえず、焼きそばとお好み焼きは買いたいな」


 武史がお祭りの王道の食べ物を提案する。


「確かに。賛成」


 俺も食べたいと思っていたから、たくさん買うことにした。


「あ、私、イカ焼き食べたい!」


 琴葉がそう言った。提案されると食べたくなってきた。

 安いながらも量があるため、1パック買えば十分だろう。


「私は、たこ焼きが食べたいな」


 本条はそう言った。

 たこ焼きも買おうと思っていたからちょうど良かった。


 結局俺たちは、焼きそばとお好み焼きを2パック、イカ焼きとたこ焼きを1パックずつ買った。さらに甘いものも欲しいということになり、ぽっぽ焼きとベビーカステラを1袋ずつ買った。

 結構な大荷物になってしまったため、1回花火を見る場所に戻ろうということになったがここでようやく気づいた。


「あれ、そういえば淳いなくね?」


 武史がそう言った。

 確かに周りを見回しても見当たらない……と思ったがすぐに見つけることができた。


「おい……あれ……」


 俺はそう言って前を指さす。

 そこには、一生懸命ナンパしている淳の姿があった。


「ちょっと行ってくる」


 武史は、淳の方へ小走りで近づいていった。

 淳はすぐに捕まり、俺たいと合流した。


「ごめんごめん」


 淳はみんなに軽い謝罪をする。


「まぁ、早めに見つかったからよかったけどさ」


 俺は呆れ声で言う。

 他の3人も、思っていることは同じだろう。


「淳、取っておいてくれた場所に案内してくれ」


 俺は淳に頼む。


「了解!」


 そう言って淳は俺たちを先導する。

 さっきの出来事もあって少し不安だったが、淳はかなりいい場所を取ってくれていたらしい。


『ふぅ〜』


 かなりの時間歩いていたのだ。さすがに疲れた。

 淳を除く4人はレジャーシートに座った瞬間、同じ声を出していた。お腹も空いたし、俺たちはご飯を食べならが雑談することにした。

 ふと俺はスマホの画面を見ると、20時3分と書いてある。


 花火の時間まで、あと1時間を切っていた。

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