猫 前編
本条花凛の裏話です
いつもより少し遅い時間に起きて、朝ご飯を食べる。食べ終わった後、家事を手伝ったり読書をしたり勉強をしたり。
そうこうしているとお昼になっていて、お昼ご飯を食べる。食べ終わった後、少し読書の続きをしてから外に出る。
図書館で借りた本を返し、読みたい本を借りる。気分次第ではそのまま図書館で読書をする。
借り終わった後、そのまままっすぐ家に向かうのではなく、少し遠回りをする。
知らないところを開拓したり、景色が綺麗なところに行ったり。散歩の後、家に帰ってからは夕飯まで読書をしたりテレビを見たり。
夕飯を食べて、すこし休憩してからお風呂に入り、自室に行く。読書をしたり勉強をしたりした後、ベットに入り、寝る。
そんな毎日。それが私の夏休み。
淡々としているが、毎日が楽しいと感じている。読書も散歩も大好きだから、毎日趣味に没頭できるなんて幸せだ。
ある日、今日も今日とて同じようにお昼ご飯を食べてから図書館へ行き、本を借りて、また知らないところを通って帰ろうとしていた時のことだ。
目の前の十字路を、1匹の猫が通り過ぎていった。色は薄い茶色に特徴的な豹柄、確かロゼットだったか。ということはベンガル猫だ。
何故私がこんなにも猫に詳しいのか、それは、
「……ねこ!」
私は大の猫好きだからだ。小さくてもふもふしていて可愛い。
私はついつい猫のあとを追いかけたくなり、走った。
「まってーねこちゃーん!」
十字路まで辿り着くと、猫はのそのそと歩いていた。私は警戒されないように、ゆっくり猫に近づく。
猫との距離が1mくらいになると、急に猫がこちらを向いた。私は刺激しないように歩くのをやめる。そして、その場にしゃがみ込み、小さく手を叩いた。
「ねこちゃーん、大丈夫だよー」
すると、猫はこちらに寄ってきた。どうやら人懐っこい猫らしい。
「よしよし」
猫の頭をゆっくり撫でる。ベンガル猫は甘えん坊だ。猫の方からもすりすり体を擦らせてきた。
にゃーんにゃーんと、猫が鳴く。私も、
「にゃーんにゃーん」
と真似して鳴く。
しばらく撫でていると、猫の首に首輪がしてあるのに気づいた。どうやら飼い猫らしい、散歩中に逃げてしまったのだろうか。
「んー……どうしようか、ねこちゃん……」
ここは知らない場所だ。私は来た道を引き返せば家に帰ることが出来るが、猫を放置することは出来ない。
完全な八方塞がり。どうしようか悩んでいると、急に声をかけられた。
「あれ、確か本条さん、だったっけ」
その声はどこかで聞いたことのある声だった。
「本条ですけど、あなたは……?」
「あー、俺は同じクラスの進藤武史だよ」




