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建前男子と本音女子  作者: とりけら
高校1年生編
27/168

買い物 前編 side:綾瀬琴葉

※注意

視点が斉藤建真から、綾瀬琴葉に変わっています。



 時を少し、遡る。


 時刻は午前10時15分。

 机に置いてある私のスマホがブブッと鳴る。私は眠い目を擦りながら、スマホのホームボタンを押した。


 昨日は夜遅くまで、友達とメッセージのやり取りをしていた。その続きだろうかと思って適当な返事を送ろうとすると、ホーム画面には、


「水着買いたいんだけど、今日買い物行かね?」


 と、けんちゃんからのメッセージの通知が表示されていた。

 私の目は一瞬にして覚める。


「けんちゃんからのお誘い!?」


 不意に声が出てしまった。

 私から遊びに誘うことが昔から普通だった。だから、けんちゃんからのお誘いなんていつぶりだろうか。すぐ思い出せないから、きっとかなり昔のことなんだろう。

 私は嬉しさのあまり、ベットの上でじたばたした。


「あ、返信しなきゃ!」


 私はすぐにメッセージアプリを開き、


「行ける!」


 と送った。するとすぐに、


「じゃあ11時に琴葉の家の前に行くから」


 と返信がきた。


「11時って……あと40分もないじゃん!」


 私は急いで支度を始めた。

 勢いよくクローゼットを開け、服を選ぶ。確かけんちゃんは昔に、派手な服より大人しめな服が好きだと言っていたはずだ。

 こんな時もあろうかと買っておいた服が役に立った。けんちゃんからのお誘いで買い物に行くという特別な日に着ないでいつ着るのか。


 服を出した後、すぐに朝ご飯を食べた。パンにジャムを塗って思いっきり頬張る。マーマレードジャムの爽やかな風味が口いっぱいに広がっておいしい。

 ……悦に浸っている暇はない。私はすぐに食べ終え、食器を台所に運んだ。


 次に私は洗面所にいき、まず顔を洗った。そして次に化粧水で保湿する。顔を拭いてからしっかりと乾くまでの間、髪の毛をクシでとかす。寝癖がなおったら薄く化粧をする。

 化粧をしすぎるとけんちゃんに嫌だと思われるだろうが、しないのもやっぱり女の子としてしっくりこないからナチュラルメイクで仕上げる。


 洗面所を後にする時に見た時計は10時55分を示していた。


「時間が! ない!」


 私はすぐに自室に戻って先程出した服に着替えた。

 持っていくバッグはこのコーディネートに似合うだろう、かごバッグでいいだろう。夏っぽいし。バッグの中にハンカチ、バンソウコウ、手鏡など必要なものを入れていく。


 全ての準備を終えた後、私は全身鏡の前に立った。

 1つずつ、変なところはないか確認していく。


(これは実質デートなんだから……ちゃんとしなきゃ!)


 頭のてっぺんから、足先まで、変なところは1つもない。


「よし、いこう!」


 私は玄関のドアを開ける。時刻は既に11時を過ぎていた。

 今の私は時計を気にする余裕が無いほど、緊張している。

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