買い物 後編 ①
談笑しながら歩いていると、あっという間にフードコートに着いた。混んでいるかと思ったが、ちらほらとテーブル席が空いているのが見える。
スマホの画面を見ると時刻は12時30分。お昼時だが今日が平日だから、ということだろうか。
俺たちは適当なテーブル席に座った。
「水取ってくるね」
「あ、悪い。ありがとう」
琴葉が小走りで冷水機まで行き、紙コップ2つに水を入れてから、入れた水を零さないようにゆっくり歩いて帰ってきた。
「よいしょっと。どうする? 何食べる?」
琴葉の質問を聞いて、俺は辺りを見回した。
カレー屋、うどん屋、ラーメン屋、中華屋、アイス屋……かなりの種類のお店がある。
「んー、うどんにしようかなぁ……。安いし暑いから冷たいうどんでツルッといきたい気分だなぁ」
夏バテで食欲がなくても、うどんは食べやすい部類だ。
外食する時はいつもラーメンばかりだから、たまにはうどんでもいいだろう。
「うどんか〜、いいね、私もうどんにしよっと」
俺たちは2人一緒にうどんを買いに行った。
俺は、冷やしとろ玉うどんに野菜のかき揚げとエビフライをつけた。琴葉は、冷やしおろし醤油うどんに野菜のかき揚げをつけていた。
俺たちはうどんを載せたトレイを持って自席に戻り、手を合わせる。
『いただきます』
俺はうどんを3本ほど割り箸で掴むと、一気に啜りあげた。冷たく、程よいコシのうどん。とても美味しい。
「ん〜おいし〜」
どうやら琴葉もご満悦のようだ。
俺たちは時たま会話を挟みながら、しばらくうどんを食べた。
「ふー、ご馳走様」
「美味しかった〜、ご馳走様!」
スマホの画面を見ると既に13時を過ぎている。
「これからどうする?」
もうやることは無いから、帰ってもいいと思っていた。しかし帰るには、微妙な時間だ。
まだアウトレットモールに来てから、2時間も経っていない。何かしたいと思いつつ何も浮かばなかったから、俺は琴葉に判断を任せるような、そんな質問をした。
「んー……」
琴葉はしばらく考えた後、
「ゲームコーナー、行かない?」
と言った。
ゲームコーナーか、暇を潰すにはもってこいだ。
「いいね、行こう」
俺たちはうどん屋にトレイと食器を返し、ゲームコーナーへ向かった。
ゲームコーナーは、フードコートのすぐ近くにあった。
主にメダルゲームが多く、協力型ゲーム、対戦型ゲーム、プリクラなどもあり思っていた以上に充実している。
ゲームコーナーの中を散策していると、琴葉が急に指をさした。
「あれ! なつかし〜。昔、けんちゃんとやったことあるよね」
琴葉が指をさしたのは、エアホッケーだ。
確か中学生の頃、友達と対戦しまくっていた。もちろん琴葉とも対戦したことがあり、確かあの時は俺が勝った気がする。
「あの時のリベンジよ!」
琴葉の方は、しっかりと覚えていたようだ。
「返り討ちにしてやる」
お金を入れ、俺はマレットを持ち、構える。
琴葉が先行だ。
琴葉はパックを強く壁に反射させた。パックが早いスピードで俺のゴールへと迫る。しかし俺は、
「甘いな!」
と、パックを打ち返す。打ち返されたパックはさらにスピードを上げ、壁に反射し、琴葉のゴールへと入っていった。
「えっ……。む〜」
琴葉はびっくりした後、口を膨らませ怒っている。
怒ったって無駄だ、これは真剣勝負。負けるわけにはいかない。
俺の先制点からしばらくは俺の得点が続いたが、琴葉も負けじと点数を稼いでいた。
両者互角のまま、マッチポイントとなる。
「はぁはぁ……。これで、負けた方が、勝った方にアイス奢るってことでいい?」
「いいぜ、はぁはぁ……。まぁ負けねえけど!」
「私こそ!」
パックは琴葉が持っている。いつ打つのか、緊張した空気が流れている。
すると急に琴葉が、
「あ!」
と言ってゲームコーナーの外を指さした。
そんな古典的な手には乗らないと思ったが、俺はふと外を見てしまった。
「スキあり!」
と、琴葉の声とパックが打ち出された音がする。
しかし、俺は反応できなかった。
だって、外にいたのは本条らしき人だったからだ。




