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建前男子と本音女子  作者: とりけら
高校1年生編
25/168

買い物 後編 ①


 談笑しながら歩いていると、あっという間にフードコートに着いた。混んでいるかと思ったが、ちらほらとテーブル席が空いているのが見える。

 スマホの画面を見ると時刻は12時30分。お昼時だが今日が平日だから、ということだろうか。

 俺たちは適当なテーブル席に座った。


「水取ってくるね」


「あ、悪い。ありがとう」


 琴葉が小走りで冷水機まで行き、紙コップ2つに水を入れてから、入れた水を零さないようにゆっくり歩いて帰ってきた。


「よいしょっと。どうする? 何食べる?」


 琴葉の質問を聞いて、俺は辺りを見回した。

 カレー屋、うどん屋、ラーメン屋、中華屋、アイス屋……かなりの種類のお店がある。


「んー、うどんにしようかなぁ……。安いし暑いから冷たいうどんでツルッといきたい気分だなぁ」


 夏バテで食欲がなくても、うどんは食べやすい部類だ。

 外食する時はいつもラーメンばかりだから、たまにはうどんでもいいだろう。


「うどんか〜、いいね、私もうどんにしよっと」


 俺たちは2人一緒にうどんを買いに行った。

 俺は、冷やしとろ玉うどんに野菜のかき揚げとエビフライをつけた。琴葉は、冷やしおろし醤油うどんに野菜のかき揚げをつけていた。


 俺たちはうどんを載せたトレイを持って自席に戻り、手を合わせる。


『いただきます』


俺はうどんを3本ほど割り箸で掴むと、一気に啜りあげた。冷たく、程よいコシのうどん。とても美味しい。


「ん〜おいし〜」


 どうやら琴葉もご満悦のようだ。

 俺たちは時たま会話を挟みながら、しばらくうどんを食べた。




「ふー、ご馳走様」


「美味しかった〜、ご馳走様!」


 スマホの画面を見ると既に13時を過ぎている。


「これからどうする?」


 もうやることは無いから、帰ってもいいと思っていた。しかし帰るには、微妙な時間だ。

 まだアウトレットモールに来てから、2時間も経っていない。何かしたいと思いつつ何も浮かばなかったから、俺は琴葉に判断を任せるような、そんな質問をした。


「んー……」


 琴葉はしばらく考えた後、


「ゲームコーナー、行かない?」


 と言った。

 ゲームコーナーか、暇を潰すにはもってこいだ。


「いいね、行こう」


 俺たちはうどん屋にトレイと食器を返し、ゲームコーナーへ向かった。




 ゲームコーナーは、フードコートのすぐ近くにあった。

 主にメダルゲームが多く、協力型ゲーム、対戦型ゲーム、プリクラなどもあり思っていた以上に充実している。


 ゲームコーナーの中を散策していると、琴葉が急に指をさした。


「あれ! なつかし〜。昔、けんちゃんとやったことあるよね」


 琴葉が指をさしたのは、エアホッケーだ。

 確か中学生の頃、友達と対戦しまくっていた。もちろん琴葉とも対戦したことがあり、確かあの時は俺が勝った気がする。


「あの時のリベンジよ!」


 琴葉の方は、しっかりと覚えていたようだ。


「返り討ちにしてやる」


 お金を入れ、俺はマレットを持ち、構える。

 琴葉が先行だ。

 琴葉はパックを強く壁に反射させた。パックが早いスピードで俺のゴールへと迫る。しかし俺は、


「甘いな!」


 と、パックを打ち返す。打ち返されたパックはさらにスピードを上げ、壁に反射し、琴葉のゴールへと入っていった。


「えっ……。む〜」


 琴葉はびっくりした後、口を膨らませ怒っている。

 怒ったって無駄だ、これは真剣勝負。負けるわけにはいかない。


 俺の先制点からしばらくは俺の得点が続いたが、琴葉も負けじと点数を稼いでいた。

 両者互角のまま、マッチポイントとなる。


「はぁはぁ……。これで、負けた方が、勝った方にアイス奢るってことでいい?」


「いいぜ、はぁはぁ……。まぁ負けねえけど!」


「私こそ!」


 パックは琴葉が持っている。いつ打つのか、緊張した空気が流れている。

 すると急に琴葉が、


「あ!」


 と言ってゲームコーナーの外を指さした。

 そんな古典的な手には乗らないと思ったが、俺はふと外を見てしまった。


「スキあり!」


 と、琴葉の声とパックが打ち出された音がする。

 しかし、俺は反応できなかった。


 だって、外にいたのは本条らしき人だったからだ。

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