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建前男子と本音女子  作者: とりけら
高校1年生編
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テスト


 カリカリカリと、シャープペンシルで字を書く音が教室内を支配している。

 残り時間はあと10分、追い込みの時間だ。分からない問題もとりあえず埋めることにする。丸がもらえなくても、途中点とか三角がもらえるかもしれない。とりあえず書くことが大事だと本条は言っていた。


 カリカリカリカリ……


「やめ。筆記用具から手を離してください」


 一斉に筆記用具を机の上に置く音が聞こえる。


「1番後ろの人はテスト用紙を回収してきてください」


 俺は1番後ろの席だ。席を立ち、自分の答案用紙を持って前の人の答案用紙を回収していく。


「ありがとう」


 先生に答案用紙を渡し、自分の席へと戻った。先生は答案用紙の枚数を数えている。


「よし、これでテスト終了とする。このあとホームルームがあるからしばらく教室に待機するように」


 先生は答案用紙を持って教室を出ていった。静寂の中、教室の扉が閉まる音が響く。


「おーっわったぁぁぁ!!」


 淳の一声で教室が一気にざわつき始める。


 今日はテスト3日目、最終日だ。


 結局、勉強会は毎日行われ全科目みっちりと勉強した。勉強中は特に雑談もなく、琴葉はぶーぶー文句を言いながらもしっかりと勉強に集中していた。


 テスト結果は明日と明後日に帰ってくる。そして来週からは夏休みが始まる。テストという重荷が無くなったからか、教室内の雰囲気は完全に浮かれモードだ。


「本条」


 俺は1人だけ別の空気を纏っている、静かに読書をしているお隣さんに話しかけた。


「何?」


「ありがとな」


「嘘だとしても感謝を言われると嬉しいわ。大したことしてないけれど」


 一言多い気がするが、気にしない。もう慣れたもんだ。


「本当の感謝だから。久しぶりに勉強した気がしたよ」


「……普段から勉強して欲しいものだけど」


「またよろしくな」


「まぁ、気が向いたらね」


 次手伝ってもらうとしたら、2学期の中間テストだろうか。いや、夏休みの宿題だろうか……。どちらにしても今は考えたくないと思った。

 高校生になってからの、初めての夏休み。楽しみという気持ちと憂鬱な気持ちが混じっている。

 

 俺がぼーっと窓の外を見ていると、足音が近づいてきた。


「花凛、まだ結果はわからないけどありがと」


 足音の主は、琴葉だった。

 琴葉も素直じゃない。本条の方を見ず、そっぽを向きながら感謝を述べていた。


「別に大したことはしていないわ」


 本条も視線は本に向けたままだ。似た者同士とはこのことかもしれない。


「それでも、手応えあったから。花凛も教え方上手だったし」


「そう……。ならよかった」


 そう言えば、琴葉は本条のことを名前で呼ぶようになっていた。なんだかんだで関係は上手くいっているようだ。


(これでもう、俺が本条の家に行ってプリントを届ける必要がなくなったな)


 勉強も、友情も、問題なく夏休みを迎えられそうだ。


 セミがうるさくなってきた。気温は相変わらず30℃を超えている。照りつける日差しは窓越しでも痛い。

 夏休みはどうなるのだろうか。

 考えても仕方がないと思い、俺は騒いでいる武史たちの元へと向かった。

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