裏話① 風邪
本条花凛の裏話です
「ただいま」
「おかえりー」
やっと家に着いた。
朝から体がだるくて仕方がなかった。別に斉藤のせいって訳じゃない。昨日からだるかったのだから。……いや、少し斉藤のせいもあるかもしれない。
なんとか階段を上り、自室のベットに寝転ぶ。朝よりも確実に具合が悪くなっている。頭がぼーっとして視界が歪んでいる。
「花凛ー、ごはんー」
お母さんが呼んでいる。どうやら夕飯ができたようだ。でも全然お腹すいてないし返事すらできなかった。
「花凛ー?」
階段を上る音が聞こえる。
お母さんが心配して自室に入ってきた。
「花凛? 大丈夫?」
「ちょっと、風邪、引いたかも……」
「すごい熱じゃない! この時間は病院空いてないし……。とりあえず薬、持ってくるから! 何か食べたいものある?」
「んー、ゼリーたべたい」
「わかったわ、持ってくるから待っててね」
お母さんが部屋から出ていく。
するとすぐにまた自室のドアが開いた。
「花凛ー、大丈夫ー?」
「お姉ちゃん……」
部屋に入ってきたのはお姉ちゃんだった。
お姉ちゃんは私のそばに来ると、自分のおでこを私のおでこに当ててきた。
「結構熱あるね〜、明日は学校休んでしっかり休みなさい」
「そうだね……」
「お大事にー」
そう言ってお姉ちゃんは部屋から出ていく。
その後はゼリーを食べ、薬を飲み、ふらふらしながらもお風呂に入り、すぐにまたベッドに寝転がった。
私は左腕を、手のひらが上を向くようにおでこにのせ、今日の朝の光景を思い出していた。
(わたし、ないたのけっこうひさしぶりかも……)
久しぶりに感情が高まってしまったんだと思う。
もう昔のことなんて、気にしてないと思ってたから。
机に置いてある、とあるピンク色のシャープペンシルを見る。それは捨てようと思ってもなかなか捨てられなかったものだ。物に罪はないって思ってたのは、ただの言い訳なのかもしれない。
(さえ、か……げんきにしてるのかな……)
こんなことを考えるなんて私らしくないと思った。
風邪のせいで弱っているのだろう。
(おれのことをなにもしらないくせに……ね)
再びあの時のことを思い出す。
彼の顔は怒っていた。怖かったけど、あの一瞬、彼の本音の一部が見えた気がした。
彼はきっと、嘘だらけではないのだ。だから私が……。
「しりたいとおもったから、たくさんしつもんしたんじゃん……」
今度は訳の分からないことを言ってしまった。
私は静かに目を閉じる。
そして私は、知らぬ間に眠りに落ちていた。
裏話は今後も軽めで書く予定です
外伝とかも書けたら書きたいなと思ってます




